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進む世界のEVシフト。激安中国勢の進出で日本車は窮地“国内でしか売れない”

ビジネス

 日本の経済成長を支えてきた自動車産業ですが、世界では脱炭素化の観点からEVシフトが進んでおり、産業界は転換を求められています。しかし現状を見ると世界における日本勢のEVシェアは低く、中国勢が台頭しています

EV

画像はイメージです(以下同じ)

 中国製EVはすでに日本でもBtoB向けに導入が進んでおり、そしてついにBtoCである乗用車においても国内市場に進出してきました。EVが普及する将来、アジア各国はおろか、日本国内でも中国メーカーが高シェアを握るかもしれません。今回は、特に日本の自動車メーカーを脅かしそうな中国EVメーカー2社の動きをみていきます

EVシェアに出遅れた日本勢

 日本製EVといえば2010年に初代モデルが発売された日産「リーフ」が代表的です。EVで出遅れていると言われていたトヨタも本格的な乗用車EVとしてリース専用の「bZ4X」を2022年5月に発売。トヨタは2030年までに30車種のEVを投入すると発表しており、その本気度がうかがえます。しかし、現状では世界におけるEVシェアで日本勢はかなり出遅れています

 2021年におけるEVのメーカー別販売台数の1位から5位は次の通りで、米・中・ヨーロッパ勢が上位を占めます。


【2021年世界の電気自動車(EV)販売台】
1位:テスラ(米国)約93.6万台
2位:BYD(中国)約59.4万台
3位:上汽通用五菱汽車SGMW(中国)約45.6万台
4位:フォルクスワーゲン(ドイツ)約32.0万台
5位:BMW(ドイツ)約27.6万台
→2021年EV世界販売合計:約650万台
(米・CleanTechnica調べ)

 10位の現代自動車、11位の起亜自動車など韓国勢よりも日本勢は下に位置しており、ルノー・日産が13位(約13.7万台)、トヨタ(約11.6万台)が16位につけています。

国策で台頭する中国メーカー2社

テスラ

Tesla Model X P100D interior logo at the rear trunk. Tesla motor company bage ©Moose

 1位はイーロン・マスク率いることでもおなじみなテスラですが、2位・3位に中国勢がつけています。従来の自動車産業で出遅れていた中国勢がEVで台頭し始めたのは中国政府の国策によるものです。中国政府は国内のEV及び車載用電池メーカーを積極的に支援してきました。

 複雑な構造で設計にノウハウが求められるガソリン車に対し、EVは電池とモーターさえあれば設計することが可能。そのうえ、EV開発には従来のガソリン車の技術はそれほど求められないため、新興企業がそれなりの車を生産することも可能に

 こうした背景から、中国政府は新しい分野でシェアを握ろうとEV市場を狙っているのです。支援の方法は中国国内メーカーに対する巨額の援助やEV購入時の補助金などさまざまです。BYDとSGMWは政府による支援、そして国内の大きな市場に支えられ、EV分野で台頭してきました

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