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進む世界のEVシフト。激安中国勢の進出で日本車は窮地“国内でしか売れない”

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BYD:前身はリチウムイオン電池メーカー

BYD

BYD Han all-electric car ©VanderWolf Images

 まずは、シェア2位のBYDについて見ていきましょう。BYDの前身はリチウムイオン電池のメーカーで、2000年代の初めごろはNOKIA製の携帯電話用バッテリーなどを生産していました。2003年から自動車事業に参入し、2008年にプラグインハイブリッドカー「F3DM」を発売します。

 この車は中国政府の国策に支えられ、販売はほぼ政府向けの調達に限られましたが、量産型プラグインハイブリッドカーとしては世界初の製品でした。2010年には同社初のEV「e6」の初代モデルを発売しました。e6はミニバンタイプのEVで、2021年2月には2代目が発売されています。

 BYDはBtoB向け製品、特にEVバスのメーカーとして存在感を表しています。2014年から米国への出荷を開始し、公共交通機関やスクールバスに採用されました。ヨーロッパ各国でも公共交通機関向けに採用が進んでいます。

日本のEVバス市場の7割を席巻

 日本でも2015年に京都府の「プリンセスライン」が採用したのを皮切りに、各地の路線バス・観光バス向けに採用が進みました。2022年現在、EVバスにおける国内シェアはなんと7割をほこります。BYDがEVバスで躍進しているのは、単純に日米欧の自動車メーカーがEVバス開発に出遅れたためです

 日本の場合は現状、EVバスを量産する国内の自動車メーカーはなく、日野自動車が発売を予定している小型EVバス「ポンチョ Z EV」もBYD製品のOEMに過ぎません。そのうえ、BYD製の路線向け大型バス「K8」の価格は3850万円と従来型ディーゼルエンジンバスの価格帯と大きく変わらず、価格面でも魅力的です。

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