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進む世界のEVシフト。激安中国勢の進出で日本車は窮地“国内でしか売れない”

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2023年から一般乗用車でも日本に攻勢

 EVバスで確かな地位を確立しているBYDですが、ついに乗用車でも日本市場に乗り込もうとしています。同社は2022年7月、乗用車タイプのEVを2023年1月より日本で販売すると発表しました。SUVの「ATTO 3」のほか、セダンタイプの「SEAL」、小型車の「DOLPHIN」を随時発売する予定です。

 最初に発売されるATTO 3の航続距離(WLTC)は485kmと一般的なEVとしては遜色ない性能を有しています(参考:日産・リーフ⇒450km、トヨタ・bZ4X⇒559km)。価格は未定ですが、400万円台前半になるとみられます。

 一方の小型EV「DOLPHIN」は日本の自動車メーカーにとって脅威となるかもしれません。471kmの航続距離に対して価格は300万円台前半になるとみられており、日産・リーフ(371万円~)やマツダ・MX-30 EV(451万円~)と比較すると価格面では大きくリードしています。国内で実績を積み重ね、性能が認められるようになればBYD車を選択する人が増えていくかもしれません。

SGMW:50万円以下のEVを開発

SGMW

ZHONGSHAN GUANGDONG China-March 26 2021:angle of MINI EV made by WULING MOTOR ©Freer

 上汽通用五菱汽車(SGMW)は米・ゼネラルモーターズと中国の自動車メーカー2社による合弁会社として2002年に設立されました。中国の大手自動車メーカーは本来、外国メーカーが設計した自動車の中国市場向け製品を生産するのが主な事業でしたが、SGMWは独自ブランドの車を販売してきました。インドネシア向けにも展開しており、2015年には現地工場の操業を開始しています。

 普通の自動車メーカーとしてはパッとしませんでしたが、SGMWは50万円以下の激安EVを発売したことで一気に脚光を浴びます。2020年7月に中国で発売されたコンパクトEV「宏光MINI EV」は1台2万8,800元(当時の価格で約48万円~)と圧倒的な安さがうりとなりました。

 余分な機能をできるだけ省き、半導体や車両部品に汎用品を多用する事で安さを実現しています。高速充電はできず、下級モデルの場合は6時間半の充電で120kmまでしか走れませんが、最高時速は100kmもあり、買い物など街中で使うには十分な性能と言えるでしょう

 上位モデルでは航続距離を170kmまで延長できます。2021年には中国国内で計39万5451台販売され、2位のBYD・Qin(18万7,227台)、3位のテスラ・モデル3(15万890台)を大きく超えるヒット作となりました。航続距離が短く、Qinやモデル3と乗車用途は異なるものの、SGMWが謳うように「代歩車(足代わりの車)」として定着しつつあります

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