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少年院から22歳で年収1000万円 漫画のような「成り上がり人生」

学び

――す、すごいですね。そのまま出世して現在のポジションに?

安藤:いえ、これではまだ終わらないんです。トップを取ってしまったことで天狗になってしまったんです。営業から帰ってきては客への不満を吐いて、周りには俺様状態で。本当の意味での更生はまだできていなかったんです。

 上司に呼び出され、一対一で話をしたのですが、私は「絶対コイツに口開かねえ」とムキになって2時間シカトを通しました。それでも私に向き合ってくれるんです。気が付いたら朝の4時になっていて、情けなくて涙が出てきてしまった。

 三浦代表には「お前、(地元の)愛知帰っていいよ。怒る価値もない」と言われました。その時に、本当に自分ってダサいなと痛感しました。そこが、私が根本から変わることができた転機だったと思います。今まではいろんなことを途中で放り投げてきましたが、その日からは一度も辞めようと思ったことはありません。

更生の先にあるものとは…

安藤亨浩

「一時は稼いだお金で、毎晩キャバクラで遊ぶなんてこともしましたが、なにか違った」

――リバースラボに入る前と後では内面も大きく変わったようですね。

安藤:はじめはお金のことしか考えていませんでした。現場仕事が原因でフラれてしまった彼女を見返してやる。それがモチベーションになっていましたが、いまは違いますね。年収1000万円もあったので、一時は稼いだお金で、毎晩キャバクラで遊ぶなんてこともしましたが、なにか違いました。そんなことよりも、新しく入ってくる問題を抱えた子たちにいかに向き合えるか。

――ドロップアウト人材と向き合う際に心がけていることはありますか?

安藤:私がいまドロップアウト人材に正面から向き合えているのは、自分が幸せだからだと思うんです。幸せじゃない人間が他人の幸せを願えるわけがないんです。「人のために働きたい」とリバースラボに入ってくる子がいますが、それは偽善だとハッキリ伝えます。まずは自分が幸せになることを考えろと。

――いまの安藤さんを見ているとまさか少年院にいたなんて想像もつかないですね(笑)。何が自分を変えてくれたのだと思いますか?

安藤:環境です。どうしようもない自分にどこまでも正面から向き合ってくれる人たちのおかげでやり直すことができました。

――では最後に。あの頃の自分にひとこと言ってあげてください。

安藤:私はあのとき捕まってよかったと思っています。全部ひっくるめていまの自分があると思っています。一度ドロップアウトしてしまっても、人生はやり直せるんです。

<取材・文/國友公司>

週刊誌記者・裏モノ系のフリーライターです。男の娘・ニューハーフが好きです。『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』発売中。ツイッターは@onkunion

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