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NY金融界出身の「ヤマトのり」4代目社長が、コロナという難局から学んだこと

ビジネス

 1899年の創業以来、糊(のり)の老舗メーカーとして成長してきたヤマト。オレンジキャップでお馴染みの液状のり「アラビックヤマト」やでんぷん糊「ヤマト糊」といったロングセラー商品を生み出し、今でもヤマトは事務用液状のり国内シェアNo.1を誇っている。

ヤマト株式会社

ヤマト株式会社 代表取締役社長の長谷川 豊氏

 同社をひきいる長谷川 豊氏は4代目。2000年に先代から社長を引き継ぎ、20年以上にわたって経営に携わってきた。キャリアを紐解くと、長年アメリカのプライベートバンクで従事し、富裕層向けビジネスを経験。世界の金融街・ウォールストリートで働く一流のビジネスマンから、日本のローテク企業の代表へ。

 そのギャップをどう生かし、これまで歩んできたのか。“一代一起業の精神”が反映された経営術について、長谷川氏に話を聞いた。

米国プライベートバンク時代に学んだ知識

 長谷川氏は大学時代、所属していたゼミの関係でアメリカへ留学することになったそうだ。先代から「アメリカに行くのなら、現地の大学院で何か資格を取るべきだ」と言われ、MBA(経営学博士)を取得することになる。

 その後は外資系金融ブラウン・ブラザース・ハリマンアンドカンパニーへ入社し、ニューヨークの本社で日本デスクの立ち上げに参画することになる

「当時はちょうど日本の高度経済成長の真っ只中で、どこの外資系企業も日本進出を画策する時期でした。かくゆうブラウン・ブラザース・ハリマンアンドカンパニーも、日本でビジネス展開する足がかりを作るべく、東京駐在員事務所をオープンした頃だったので、ニューヨーク本社で唯一日本人の私がその役を買ってでることになったんです」

上司のカバン持ちとして世界的な会議に同席

ヤマト株式会社

ロングセラー商品の「アラビックヤマト」。左から「アラビックヤマト スタンダード」、「アラビックヤマト エル」

 最初の頃は、現地に赴く日本企業の駐在員に対して、ニューヨークにおける最新の金融マーケット情報を提供する業務を行ったという。

 こうしたプライベートバンクでの仕事で学んだのは「金融マーケットの潮流と各プロフェッショナルとの折衝や取り仕切るための振る舞い」だと長谷川氏は振り返る。

「私自身が資産運用したりマーケットの分析をしたりするのではなく、アナリストやアセットマネージャーといった分野のプロが社内にいるので、業務の取りまとめをうまく行い、求められる成果をいかに最大化できるか。そのような意識で業務に臨んでいました。また、尊敬する上司のカバン持ちとしてIMFなどの世界的な金融会議に同席したことで、世界の金融動向やお金の流れを知れたことも、大きな学びになりました」

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