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賃金は低いまま、雇用は非正規に…“安い日本”はいつまで続く?人気アナリストに聞く

コラム

 止まらない円安。中小企業はコスト増加に悲鳴を上げている。客離れを心配して、コストを価格に転嫁できないなか、円安倒産が記録的な件数に。このまま倒産件数は増えるのか? 今年10月に『大値上がり時代のスゴイお金戦略』を出版した経済アナリストの森永康平氏に聞いた。

円安倒産

写真はイメージです

“黒田路線”が継承されず円安は止まる!?

先進国は軒並みインフレに陥っています。ただ賃金が上がらないのは日本だけ。日本ではデフレマインドが根強く、中小企業はコスト増でも十分な価格転嫁ができない。バブル崩壊後、家計は節約志向でモノが売れず、企業は雇用を非正規に置き換える悪循環に。『デフレスパイラル』に陥ったままです」

 そう語るのは、前出のSNSで物価情報を発信する「物価オジサン」こと森永康平氏@KoheiMorinaga)。そんななか欧米では、「日本化」を回避しようと躍起だ。

円安倒産

経済アナリスト・森永康平氏

「日本のようにならないため、先進国は物価高を覚悟して、コロナ禍に大胆な経済政策や減税に踏み切った。なのに当の日本はコロナ禍でも変われなかった。もしこの円安の潮目が変わるとしたら来春以降でしょう。FRB(米連邦準備理事会)が景気悪化を懸念し、現在のインフレ目標を2%から引き上げるシナリオが想定できます。

 日本では来年4月に日銀の黒田総裁が任期満了を迎えますが、金融緩和に前向きな“黒田路線”が継承されない見方も濃厚。そうなると、日本も一気に円高に動くことになるでしょう」

結局は政府次第…それでも“安い日本”は続く

国会議事堂

 しかし手放しでは喜べない。

「民主党時代の円高不況時のように、円高では大企業が打撃を受ける。すると下請けとなる中小企業への打撃は不可避です。為替の問題以前に成長力を失ってしまった日本の現状を政府が直視し、有効な経済政策を打ち出さない限り、日本は復活できない

 安い国から復活はいつになるのか。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

【森永康平】
経済アナリスト。証券会社、運用会社を経て金融教育ベンチャー、マネネを設立。複数のベンチャー企業経営にも参画。著書に『大値上がり時代のスゴイお金戦略』(扶桑社)など多数

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