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中国事業は苦戦…「日本一の銭湯チェーン」の赤字でも撤退できないジレンマ

ビジネス

 全国でスーパー銭湯を運営する「極楽湯」が、2022年3月期に19億7900万円の純損失(前年同期は30億8100万円の純損失)を計上し、債務超過に転落しました。

極楽湯

画像は公式サイトより

 債務超過額は1200万円と軽微。しかし、極楽湯が主戦場とする日本と中国では、いまだ新型コロナウイルス感染拡大に対する厳しい措置をとっており、債務超過を解消しても中長期的な苦戦が予想されます。

大赤字に至っている主要因は…

 2022年3月期の売上高は前期比14.5%増の100億3600万円でした。売上高は100億円の大台を回復したものの、全盛期の160億円には遠く及びません

極楽湯

極楽湯業績推移※決算短信より筆者作成

 極楽湯は2022年3月期において、日本と中国の直営店の減損損失25億7100万円を計上しました。減損損失とは、出店する店舗において当初の収益性が得られず、投資額に対する回収可能性額が減少したことから、貸借対照表上にある固定資産の価値を減価するもの。減価した分は損失として貸借対照表上に計上します。

 極楽湯は2020年3月期に33億5400万円、2021年3月期に11億8000万円の減損損失を計上しています。これが大赤字に至っている主要因です

 つまり、新型コロナウイルス感染拡大によってスーパー銭湯に足を運ぶ人が少なくなり、当初計画していた施設の採算性が悪化します。会計上のルールとして、出店時に計画していた収益性を下回ると、投資回収の可能性が低くなったことから、固定資産(浴場)の価値を小さく見積もらなければなりません。減価した分が損失として各年度に重くのしかかっているのです

飲食店のようにいかない理由

極楽湯

極楽湯店舗数推移※決算説明資料より

 飲食店の場合、採算性が悪化した店舗を退店して業績を立て直すことが可能です。例えば「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスは、過剰出店による店舗同士の顧客の取り合いに加え、コロナ禍で集客力を失いました。収益性を取り戻すため、1年間で200店舗以上を退店。その結果、いきなり!ステーキ事業単体では黒字化を果たしています

 しかし、極楽湯のように大型で特殊な施設の場合、簡単に撤退することができません。2022年3月末時点の国内直営店は28店舗でその数は日本一です。コロナ前の2020年3月末から2店舗の減少に留まっています。

 退店するとしても、退去費用がかさみます。極楽湯は、減損損失を出してコロナが収束するのを我慢強く待っている状態です

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