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外資系コンサルから「長身女性アパレル」で起業した女性社長。きっかけは“敗北感”

ビジネス

前職時代に培った「分析力」を役立てる

ATEYAKA

 理系出身かつ、コンサルティングや経営企画を経験した大倉さん。アパレル業界で活動する今でも、前職で得た「分析」というスキルは役立つという。

「服を見るうちに、服が合わない理由や逆に着やすい服の理由などが理解できるようになりました。例えば、高身長女性は全身黒でコーディネートをする人が多いんです。今では、威圧感が出るため万人受けする色ではないとアドバイスしていますが、その気持ちは痛いほどに分かります。何をしても目立ってしまうし、少しでも目立たなくスリムに見せたいという気持ちがあるのでしょう。

 また、これまで『高身長のため、腰が張っていたり肩幅があるという体型が悪いのでは』と感じていましたが、決してそういうわけではないんだな、と。高身長女性が市販サイズの服を着ようとすると、着丈だけでなくウェストやバストの位置なども違うため、どうしても綺麗に着こなすのが難しくなるんです」

 大倉さんいわく、高身長女性にとって「服を買いにいく」というのは、好きなデザインやカラーを選ぶのではなく「とにかく丈が長いもの」を探しにいくことに尽きるという。例えばコートを買おうとしても、サイズに合ったものを選ぼうとすると、カラーは黒や紺などシックなものに限られる。

妹ブランドで方向性はより広まった

「例えばATEYAKAでは、トップスのボリュームが抑えめのデザイン、ボトムスには華やかにさせたり目が行きやすい工夫をしたデザインを心がけています。これは、トップスをシンプルにすることで『背が高い』ではなく『足が長い』ことを魅せようというこだわりを込めています。流行りの追及なら他ブランドに負けますが、分析することに関しては負けません」

「大倉さんが今着たい服を作る」という裏テーマがあった「ATEYAKA」だが、2021年には価格帯を下げて高身長向けの既成サイズに特化した妹ブランドMIHARU」を始動させた。

「『MIHARU』を始めるまで、まだまだお客さまの声を拾い切れていなかったのではと思います。私自身が180cmなので、180cm前後の方からの共感は強く得られていたものの、170cm前後の『一般的には高身長、でも私ほどの高身長ではないお客さま』からのニーズに応えきれていなかったのかもしれません。また、お客さまに『あなたに合う服はありません』とはどうしても言いたくないという思いから、セミオーダー方式を取っていました」

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