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コロナ自粛、単価ダウンの「葬儀業界」。苦境で“増収キープ”できた会社はどこか

ビジネス

きずなホールディングス:葬儀事業のみを運営

 株式会社きずなホールディングスは葬儀事業のみを運営しており、家族葬の「ファミーユ」や「花駒」などのブランド名で葬儀ホールを展開しています。四国を除くほぼ全域に展開しているようです。2019/5期~2022/5期の業績は次の通りです。

【株式会社きずなホールディングス(2019/5期~2022/5期)】
売上高:71.9億円→76.8億円→80.3億円→92.7億円
営業利益:8.1億円→4.9億円→7.3億円→10.7億円
最終利益:4.1億円→2.1億円→3.6億円→6.0億円
葬儀件数:7549件→8870件→10278件→11919件
葬儀単価:98.6万円→90.3万円→81.8万円→80.1万円

単価減少も新規出店で拡大

kizuna

画像は公式サイトより

 2020/5期はホールへの来館、ウェブによる事後入電数、オリジナル葬儀件数の3つを業績向上につながる重要業績評価指標(KPI)として定め、葬儀件数を増やす施策を進めました。こうした施策が成功し、葬儀件数増加と売上高の増収に貢献しました。しかし、トレンドである葬儀のコンパクト化が影響し、葬儀単価の低下と収益性の低下をもたらしています。

 コロナ禍の翌2021/5期は積極的に出店し過去最大となる15ホールを出店したほか、岡山県地場の業者をM&Aで取得したことにより葬儀件数が大幅に伸びました。一方で自粛によって葬儀単価が大幅に落ち込んでおり、件数増加を相殺したため売上高はあまり伸びなかったようです

 2022/5期も葬儀単価の低下は続きましたが、前年よりは下げ幅が小さくなっており、底を打った感じがあります。こうした状況下でも10ホールを出店し、葬儀件数が増えたことで増収増益につながりました。なお同期末時点で109店舗体制となっています。以上のようにきずなHDも他社同様に葬儀単価が低下し続けていますが、件数の伸びが大きく、売上高は増収を維持し続けています。

 主力ブランドの「ファミーユ」は家族葬をメインとする葬儀ホールであり、トレンドである葬儀の小規模化ニーズに合致しているため件数が伸びたと考えられます。なお2023/5期の葬儀単価は80.7万円と、同社はこれ以上の単価低下は起きない予想しています。今期も新規出店を続ける予定であり、葬儀件数・売上高ともに10%増える見込みです

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