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1万円で買った「偽物ブランドバッグ」。買取専門店に持ち込んでみた結果

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偽ブランド品流入は加速するかも

 今後も偽ブランド品の流入は増えるのか。中国市場における模倣品調査を行うアライジェンス コンサルタンツの太田基寛氏は言う。

「商標権侵害など知的財産権に対する中国当局の取り締まりは近年強化されており、業者は厳正に処罰されることが多くなっています。結果、中国では街中で見かける偽ブランド品は明らかに減っており、消費者のコピー品に対する不寛容度も先進国レベルに近づきつつあります

 ただ、規制が厳しくなればなるほど、禁制品は地下に潜るのが世の常。日本を含め、もともと偽ブランド品に対して不寛容だった先進国でも、ネットの世界では氾濫している。こうしたなか、中国の事情が重なり、日本への流入は今後、加速すると太田氏は言う。

「中国のネット社会は実名登録制ですし、プラットフォームの規制体制も整っている。もちろん抜け道はありますが、日本と比べても偽ブランド品の小売りは手間やリスクがかかる。そこで中国の業者が目をつけたのが日本市場だった

個人使用も取り締まり対象になるが…

偽ブランド品

 こうしたなか、商標法及び意匠法が2021年に改正され、10月から施行となる。加藤博太郎弁護士がポイントを解説する。

「これまで、個人使用目的で海外の事業者から偽ブランド品を輸入することは取り締まり対象ではなかった。しかし、今回の法改正で個人使用も対象となり、税関で没収が可能になりました

 しかし、抜け穴があるという。

「事業性のない海外の個人から、日本の個人に向けて輸入される偽ブランド品は取り締まり対象ではないのです。海外の事業者が個人名で発送した場合、摘発が困難になることが予想されます」

 いたちごっこは今後も続く。

<取材・文・撮影/SPA! 偽ブランド取材班 写真/時事通信社>

【太田基寛】
中国を拠点とするアライジェンス コンサルタンツ代表。過去16年、知的財産保護の調査・コンサルティングや中国市場調査やマーケティングに従事

【加藤博太郎】
加藤・浅川法律事務所代表弁護士。慶應義塾大学法学部を単位取得退学・同大法科大学院卒業。仮想通貨、不動産投資、投資詐欺などの被害救済が専門

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