bizSPA!フレッシュ

資産が目減りする前に!米ドル、人民元…今こそ狙うべき世界の通貨4選

コラム

製造大国の通貨は、自国通貨高になりやすい

貯金

 つまり、製造大国として成功する国の通貨は、自国通貨高になりやすいということです。そしてその筆頭が中国であり、メキシコもそれに類する地域ということになります。もちろん、中国ほどの成功を収めることは困難かもしれませんが、近くに米国があり立地が良いので、不安定な中南米通貨の中ではとびきり安定しています。

 メキシコは日本から見て地球の裏側ですし、したがって日本に入ってくる情報は少ないです。ですからどういったことが実際に現地で起こっているのか、その情報が不足する点は残念ながらリスクになるでしょう。私もメキシコに足を運んだことはあるものの、知らないことは山ほどあります。ですからメキシコのことを学びながら投資するつもりで始めるのが現実的かもしれません。

 次に豪ドルです。オーストラリアは資源高の影響を受けて経済が非常に好調であり、2021年に過去最大の貿易黒字、過去最低の失業率水準を同時達成しています。さらに資源輸出国ですので、資源輸入国ほどはインフレ圧力が高まっていない点も中長期ではプラスに働いてくるでしょう。

 短期的には利上げのペースが米国と比べて遅くなることが想定されますので、やや弱含むかもしれませんが、今後2~3年で考えれば見込みのある通貨と考えています。

ドルの基軸通貨性が薄らいでいく可能性も

 最後に米ドルです。これはもう説明不要かもしれませんが、運用益のことを一切考えず単に円安をヘッジしたいのであれば真っ先に米ドルが挙げられるでしょう。なんせ世界の基軸通貨です。私も金融資産の半分はドル建てです。しかも短期的にはこれまで述べてきた通り、急ピッチの利上げや、バランスシートの縮小に動きますので、これらもドル高要因として作用してくるでしょう。

 ただ中長期的な目線で見ると、円に対しては大きく上昇したとしても、たとえば人民元に対しても強含み続けるか?というと、そこは難しいように思います。時間が経てば経つほどに、アメリカ以外の国も経済力をつけ、その過程の中でドルの基軸通貨性が少しずつ薄らいでいく可能性には十分留意しておいたほうがよいと考えます。

 その時間軸は世界がどう変わっていくかによるのですが、米国だけの投資を続けるリスクは、過去の数十年よりも、未来の数十年でより高まるはずです。

ウクライナ侵攻後の世界経済と 金融マーケット

ウクライナ侵攻後の世界経済と 金融マーケット

外国為替を通じて世界情勢を見ている著者が、ウクライナ侵攻に関して情報を整理し、将来の世界経済や金融マーケットのシナリオを提示

おすすめ記事