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物価上昇はいつまで続く?ウクライナ侵攻だけじゃない“深刻な要因”

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 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに資源価格が高騰している。各国でインフレが進み、遠く離れた私たち日本人にとっても、ウクライナ情勢は他人事ではない。金融経済の分野では今どういったことが起きていて、今後どのような事態が想定されるのか? 日本を含む西側諸国による効果的な経済制裁とはどのようなものなのか?

ウクライナ兵士

ウクライナ兵士 funerals of Ukrainian servicemen killed during Russia`s invasion © Bumbleedee | Dreamstime.com

 世界経済の変化を日々追っている金融アナリストの戸田裕大氏が先日上梓したのが新書『ウクライナ侵攻後の世界経済と金融マーケット』だ。今回は同書より、なぜ世界中でインフレが起きているのか? を解説した章を紹介したい(以下、同書より抜粋)。

世界中でインフレが起きている

 各国がロシアからの資源輸入の禁止になかなか踏み切れないのは、そもそも各国がロシアの資源を必要としているからですが、もう一つの大きな理由としては各国の強いインフレ圧力が挙げられます。たとえばユーロ圏は2022年3月とその1年前とを比べると既に7.4%の物価上昇が起こっています。1年前に100ユーロで買えたものが、現在は107.4ユーロでないと買えない状況です。

 このような状況でさらに世界有数の資源国であるロシアに対して資源輸出を禁じると、世の中に出回る資源の総量が減少してしまい、さらに資源価格が高騰し、より強いインフレ圧力が発生してしまいます。ゆえに各国はロシアに対して制裁を科したいものの、資源関連に関してはどうしても思い切った措置をとることができずにいます。

 今年に入ってからカザフスタン、スリランカ、トルコ、ペルーなどでは資源価格の高騰を通じた物価の上昇が要因のデモが発生しています。日本のインフレ圧力は海外と比べて相対的に低く抑えられていますが、特に輸入品の値上げなどは既に現実となりつつあります。そもそも、なぜ今これほどまでに世界中でインフレ圧力が高まっているのでしょうか? 少し詳しく説明します。

インフレ圧力が強まっている理由

戸田裕大

戸田裕大『ウクライナ侵攻後の世界経済と金融マーケット』(扶桑社新書)

 1点目の理由は新型コロナウイルスによる感染拡大を乗り越えたあとの経済のV字回復です。2019年末から被害が拡大し2020年の経済活動は大きく落ち込みましたが、その後、段階的に世界景気は回復し、生活もwithコロナ体制へと移行する中で、少なくともウクライナ侵攻までは経済活動はV字回復傾向にありました。また2021年の低成長からの反発もあって急激に需要が高まっていました。

 2点目が世界的な金融緩和とその反動です。コロナ危機の際に先進各国の中央銀行が大量に資金を供給したことで世の中の資金量は急増しています。また多くの先進国がゼロ金利へと引き下げ、景気刺激を与え続けたことも現在の大きなインフレ圧力につながっていると考えます。

 3点目はサプライチェーンの目詰まりです。新型コロナウイルスの影響で航空便が減少したり、そもそも工場の稼働が止まってしまったりと、平時の生産・流通体制とは異なっています。全般に産業製品が品薄になり、一方で経済活動は回復しているため、需要は増えているのですが、供給が減ってしまったり、遅れてしまったりすることでモノやサービスの価格が上昇しています。

ウクライナ侵攻後の世界経済と 金融マーケット

ウクライナ侵攻後の世界経済と 金融マーケット

外国為替を通じて世界情勢を見ている著者が、ウクライナ侵攻に関して情報を整理し、将来の世界経済や金融マーケットのシナリオを提示

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