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20代独身男性の4割がデート経験なし。マッチングアプリ婚活が迷走するワケ

暮らし

マッチングアプリの仕組みが恋愛発展の足かせに?

松本健太郎

データサイエンティストの松本健太郎氏

 行動経済学に詳しいデータサイエンティストの松本健太郎氏は「マッチングアプリは大量の出会いが提示されるため、“決定回避の法則”が起きやすくなる」と指摘する。

「人には選択肢が多いと脳への負担が大きくなりすぎて、結果として選択すること自体を放棄してしまうという心理現象があります」

 また、マッチングアプリでは一対一のやり取りしか行わず、第三者の介入がないことも迷子化する原因だという。

「友人紹介や職場恋愛の場合、別れたほうがいいと思っても、積み上げてきた周囲との人間関係も壊れてしまうのではないかというコスト感覚が働きます。このように、今まで投資してきたコストを惜しみ、将来における正常な損得判断ができなくなることを『サンクコスト効果』と言います。本来は合理的な判断を歪ませる思考のエラーなのですが、一方で成婚の決め手となる側面がありました

 しかし、こうしたバイアスのかからないマッチングアプリでは、ある意味で正常な損得判断ができてしまいます。『損失回避の法則』といって、人は無意識に利益を得るより損失を避ける傾向があります。そのため、わずかな条件の不一致でも選択を見送ってしまう。恋愛から成婚に至るには、ある種の“気の迷い”が必要なのです」

目先の損よりも将来の得をイメージ

マッチングアプリ

 対処法はあるのだろうか。

「マッチングアプリの構造的に、頭で考えすぎてしまうことは致し方ありません。損失回避の法則にとらわれないためには、損得を比較する時間軸を大きくして目先の損よりも将来の得をイメージすること。『結婚して子供が生まれれば、充実した人生を送れるだろう』『結婚すればお金に余裕ができるから、老後の生活も安心だろう』。こんなふうに考えることで、2~3年先よりも将来的に享受できるメリットを大きく感じることができる。守りに入らずに、選択に踏み切りやすくなるはず」

 メリットを強く意識し、判断ミスを防ぎたい。

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