吉野家「生娘シャブ漬け」発言で浮き彫りになった、“日本のジェンダー意識”の危うさ
海外の投資家も日本企業に改善を要求
内閣府男女共同参画局の「女性活躍・男女共同参画の現状と課題」によると、コーポレートガバナンス・コードのルールとして「女性・外国人・中途採用者の管理職への登用など、中核人材の登用などにおける多様性の確保」とある。
「取締役会だけでなく、中核人材、つまり女性管理職などあらゆる意思決定の女性をはじめとした多様性の推進が求められています。海外の投資家は『女性役員がいない日本企業』に対して、議決権を行使して『なぜ女性の役員がいないのか』と要求してきます。
それは『持続可能な経営』のためですし、女性役員がいる企業のほうがパフォーマンスが良いという調査もあります。海外と比べると、女性の役員や管理職数にしても非常に少ないのが現状です。どうしてもホモソーシャル社会、同質性が高くなり、日本の会社というもの自体45歳以上の男性が多い同質性の高い構造になっています」
日本の女性役員が少ないままのワケ
その背景として、バブルの時の大量採用、女性活躍の遅れという原因があるという。
「なぜ女性役員がいないのかというと、今役員になる年代の女性ですと、働き続けられずやめています。当時はまだ女性が仕事と家庭を両立できるような制度が整っていなかったからです。そもそも社員全体で女性を3割以下しか採用していない企業もあります。今慌てて“新入社員の50%を女性にします”と増やしていますが、そもそも40~50歳以上の女性が正社員として働いていない、または事務職のままの状態です」
コーポレートガバナンス・コードもありつつ、40歳以上の男性が圧倒的に多くて、毎年半分女性を採用してもなかなか企業が変わっていかない時には、どうすればいいのだろうか。
「これは日本全体を変えないと意味がなく、政治に比べると、企業のほうがまだマシなんです。『役員をこんなふうに入れましょう』『女性幹部を育成してください』など決め事があれば、上場企業は建前上でも真面目に対処しますね。一方で、政治家のなかにあまりにも女性が少ないというのは本当に大きな問題です。たとえば日本国民全体をみると、男女比率はほぼ同率なんですが、国会議員の男女比率は、女性議員が衆議院9.7%、参議院が23.0%と合計14.3%にとどまっています」