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吉野家「生娘シャブ漬け」発言で浮き彫りになった、“日本のジェンダー意識”の危うさ

ビジネス

 吉野家の元常務の問題発言から、現在の日本社会におけるジェンダー課題が浮き彫りになった。

吉野家

吉野家

 吉野家ホールディングス元常務の伊東正明常務取締役本部長(当時)が、早稲田大学の社会人向けプログラムで「生娘をシャブ漬け戦略」と称し、「田舎から出てきた右も左もわからない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする」「男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対に食べない」などと発言した問題だ。

 吉野家のような有名企業にも、フタを開けたら、人権感覚に乏しい偉そうにしているおじさん上司ばかり……そんな状況はなぜ起こるのか? 元常務による”問題発言”の本質について取材した前回の記事に続いて、今回も『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP新書)などの著書があり、相模女子大学大学院特任教授の白河桃子氏に、日本企業のあり方やジェンダーに対しての取り組みなどの話を聞いた。

そもそも「ハラスメント」の定義とは

 元常務の問題発言に対して、早稲田大学の対処が早かった理由として、2004年に「ハラスメントガイドライン」が制定されていたことは前回の記事でも述べた。そもそもハラスメントの定義とはなにかを、白河氏に聞いた。

「パワハラやセクハラ、マタハラなど『これって何ハラなの?』とみなさんよく悩まれていますが、被害者側にとって、被害を受けたという事実は“一緒”なんです。もしかすると一生ダメージを受けてしまい、その企業・組織で働けなくなる、学業が続けられなくなるケースもある。そういう生涯にわたって傷を負うような可能性があるので、『気にしすぎ』と軽く片付けていい問題ではありません」

「ジェンダーギャップ指数120位」の現実

白河桃子

白河桃子氏(相模女子大学大学院特任教授)

 ちなみに、前回の記事で白河氏が指摘した早稲田大学が制定した「ハラスメントの定義」には「性別、性的指向・性自認、人種、エスニシティ、国籍、信条、年齢、障がい、職業、社会的身分等に基づく不当な差別的取扱いや偏見に基づく言動、身体的特徴等の属性あるいは広く人格に関わる事項等に関する言動によって、相手に不利益や不快感を与え、あるいはその尊厳を損なうこと」とある。

今回は女性の尊厳を損なう発言をしていますし、ガイドラインを見れば、一目瞭然でアウトになります。しかし、企業のなかにはこうしたハラスメントガイドラインを制定しないところも多く、被害者が抗議の声を上げても報復されることもある。企業や大学などはガイドラインを制定し、それを遵守するようにしていただきたいです」

 問題発言のあった吉野家の元常務のような人がいるのは、今の日本企業では珍しくないことのようだ。

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