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社長の命令で猫を飼い始めたIT企業。リモート中に「誰が面倒を見るか」で波乱の顛末

コラム

1万円の「お世話手当」が出るように

社猫

「社長も悪いと思ったのか、お世話をする社員には一律1万円の手当を出したんです。しかし、猫を飼ったことのない家では設備も十分ではないですから、備品を会社から持ち運んだり、新しく購入したりと大きな負担となってしまいました。正直、1万円なんてすぐに消えてしまったのが現状です」

 ただ、こういった不都合が起きたことで社員の絆が深まったと安原さんは話してくれました。

「命の大切さを改めて知らされた気持ちになりました。家に連れて帰ってお世話をしたことで、新しく自分でも猫を飼い始めた社員もいたくらいです。また、自宅がペット不可で面倒が見られない社員は、率先して仕事を多く引き受けるなど自分ができるサポートを行うようになった

社長の悪口で盛り上がることも

「人間関係がドライな社風で社員同士が仲良くする機会もなかったんです。でも、マミちゃんのお世話で協力することで、かなり打ち解けられた印象です。ただ不満もあって、社長は一切お世話をしていないんです。自分の家はペット不可だからと早々に社員に押しつけた。そういった意味でも、社長の悪口を言って社員同士の結束も少し強くなりました(笑)」

 いまでは、体制も整いマミちゃんも今まで通りに平和に暮らしているとのこと。

「猫は飼育環境を頻繁に変えたり、連れ回すと良くないというのを聞いて、これまで通りに社内でお世話をすることにしたんです。リモートワークする間に当番を作って必ず誰か出社するようにしました。社長も悪いと思ったのか、当番の社員には多めに手当をつけるようにしてくれました。いまでは、手当がほしくてマミちゃんのお世話に立候補する社員が多くなったほどです。マミちゃんも、自分の育った会社に戻れてうれしそうです」

 最終的には、マミちゃんも会社も幸せな形に落ち着けたようですが、くれぐれもペットを飼う場合はきちんと計画をたてることをオススメします。

<TEXT/高橋マナブ イラスト/本田しずまる>

-[動物・ペットの忘れられない話]-

1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

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