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“資金ゼロ”の26歳経営者が思わず涙した「サギだと思ってるから」の一言

ビジネス

他にも必要な資金が続々と…

 ほかにも、お店のロゴなどが入っている備品も当然新しくしなければいけません。「愛される八百屋」=「売れる八百屋」の条件としてデザインの重要性は十分に理解していたので、そこが押さえどころだということはわかっていました。

 また、それまで百貨店などのテナントで曜日や期間限定で野菜販売をしていた経験から、お客さんがいま何を求めているのか、どんなお店なら野菜が売れるのか、といったことや、固定店舗だったらこういう八百屋にしたい、というイメージも自分の中に明確にありました。

 そこで、僕がリスペクトする知人のデザイナーさんにリノベーションについて相談してみたところ、トータルで100万~200万円はかかるだろうとのこと。

 ここでようやく、不動産屋との賃貸契約に必要な経費、商品の仕入れをはじめとする初期費用以外に、少なくとも300万~400万円は用意しないと八百屋は始められないという現実に気づいたのです。で、こりゃヤバいな、と。

口座に振り込まれた金額と想いに涙

書籍

『渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命』(三浦大輝、扶桑社)

 繰り返しになりますが、当時の僕には資金ゼロ。やはり無理なのか……思いながらも、「やらせてください!」と宣言したからには簡単に引き下がれません。

「八百屋やります」宣言から1週間、起業のための出資について相談していた方には急遽「八百屋をする」を事業計画に加わった旨をお伝えして再プレゼンし、重ねてのお願い。加えて感度の高そうな方、「ちょっと話聞かせてよ」と興味をもっていただいた方にはとにかく会いにいきました。本当に追い込まれていたので、我ながらかなりの熱量だったと思います

 こうして1週間後、私の口座には約800万円が集まっていました。ここで会社を、八百屋を始められる目途がついたのです。出資者の内訳はさまざまですが、前述のようにいわゆるベンチャーキャピタル、プロ投資家といった人たちではありません。

 50万~300万円の範囲で出資していただいたのは、農家さんをはじめ、経営者としてそれぞれの事業を手掛ける方たちでした。

渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命

渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命

「大量フードロス」がメディアで話題に!日本の農業の未来をつくる若きイノベーターの戦略を凝縮した一冊

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