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“資金ゼロ”の26歳経営者が思わず涙した「サギだと思ってるから」の一言

ビジネス

「僕にやらせてください!」がきっかけ

八百屋 野菜

「菜根たん」は2022年2月現在、根津本店、渋谷店、大宮店と3店舗で展開しています。固定店舗は2020年2月オープンの根津店が最初でしたが、「八百屋」を始めることを決意したのは2019年9月、ちょうど新会社設立に向けて動きだしたタイミングでかかってきたある電話がきっかけでした。

 そのとき北海道にいたこともあり、当時の状況はよく覚えています。電話は「VEGEO VEGECO NEZU(ベジオベジコ根津)」という八百屋の社長さんからでした。「あ、三浦くん。いつも野菜を卸してもらってたベジオベジコがクローズすることになったんで、申し訳ないんだけどそのご挨拶で──」

 残念なお知らせでしたが、それを聞いた瞬間、ふとひらめいたのです。「あ、やりたい!」。そして即、「閉めるなら、僕にやらせてもらえませんか?」と。「お店、そのままにしておいてください。うちの会社でやります!」と訴えたのです。

 根津神社の近くにあったベジオベジコは、それまでの八百屋のイメージを一新するビジュアルコンセプトのお店。8坪ほどで白が基調のシンプルな店内はまさに“野菜が主役”という空間でした。九州のオーガニック野菜を中心に扱う宮崎発のショップだったので、九州産が品薄になる時期に長野産の葉物野菜などをディグインから卸していたのです。

譲る場合の見積もりはざっと…

 前述のとおり、自分たちでは八百屋をやりたくても資金もなくまだ早いという状況でしたが、あのお店がなくなるのはもったいないという気持ちが沸いて、思わず言葉にしていました。

 その場での思いつきのような(実際そうでしたが)お願いに、社長さんは面食らったことでしょう。しかし、そこからベジオベジコへのリスペクトを感じてくれたのか、突然の申し入れを受け止めて、現実的なことを伝えてくれました。「三浦くんに渡すのもいいんだけど、うちの資産となるものもあるから、そのまま譲る場合でもそれなりの金額になると思うよ」。

 居抜きのため、賃貸店舗の原状回復は必要ないとしても、冷蔵庫をはじめ店内の備品などのリユース、現金化予定のものはその分を負担してもらうことになる、と。それは当然のことで、見積もりとしては200万円ほどということでした

渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命

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