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渋谷で人気の26歳八百屋さんが明かす、壮絶なスタート「自分で自分を過労死」

ビジネス

「食」と「農業」にまつわる産業、「食農ビジネス」で注目を集める若き経営者・三浦大輝さん(26歳)は、高校入学前に東日本大震災を経験し、食の安心・安全に関心を持つようになりました。

三浦大輝

三浦大輝さん。「とにかく〈現場〉でやってみる」ことを大切にしている

 現在は株式会社Living Rootsの代表取締役CEOとして、「農業を選んだ人が、全員豊かな生活を送る」ことを目標に、農産物の卸売業と小売業を手掛けています。

 さらに渋谷をはじめ東京と埼玉で「菜根たん」という八百屋を3店舗運営。また、緊急事態宣言のなか、フードロスをセットにしてネットで販売する「フードレスキュー活動」を実施。これがツイッターで3.9万件もリツイートされて大きな話題となり、メディアにも取り上げられました。

 今回も著書『渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命』より、「起業につながった大きな出会い」を三浦さんが振り返ります。企業し、八百屋の運営も始めたことで人手が足りなくなったとき、支えてくれたのは他ならぬ「お店のファン」だったそうです(以下、同書より抜粋して再編集)。

倒れる寸前、悪戦苦闘のスタート

 2019年10月23日、出資者の方々をはじめ、お世話になっている生産者さん、流通会社の方、飲食業界に精通したシェフ、起業の先輩たちなど多くの方々のおかげで「Living Roots」は無事設立の運びとなりました。そして翌2020年の2月6日、僕らの八百屋「菜根たん」は店内を整え、晴れてオープンの日を迎えることができました

 しかし、ここからまた新たな試練がスタートしたのです。オープン当初の菜根たんのスタッフは、飯島と僕の2人だけ。店舗運営と給食事業をこなすため、日中は店舗を切り盛りして、その後、夜中の12時すぎから明け方までは給食に使う野菜の選別を行っていました。

 朝の仕入れもあり、朝7時には店舗に行くなど本当に忙しく、もはや倒れる寸前。それでも40キロのタマネギを担いだり、夜中の3時まで段ボール箱を運んだり、体を酷使する作業に追われ、心身ともに悲鳴を上げはじめました

「自分で自分を過労死させようとしている」

野菜 八百屋

※画像はイメージです(以下同じ)

 俺ら死ぬんじゃないか、と言い合ったり、それにも疲れて心の中でつぶやき続ける日々。自分で自分を過労死させようとしている──冗談ではなくそんな感じでした

 でも、自分も飯島も同じことをやって、一緒に住んでお互いにつらそうな顔を見たり、死力を尽くしていることを確認し合えたからまだよかったのだと思います。別々だったらぜったい無理でした。

 特に開成中高―東大エリートコースの飯島は、いままでこんな身を切るような経験はしてこなかったわけです。口には出さなくても、彼が「何やってんだろう俺」状態になっていたときは「いや、これはぜったい将来につながるから。いまの経験が生きることが必ずあるから、信じてくれ」といったポジティブな言葉をずっと言い続けていました。飯島だけでなく、自分自身にも向けて言っていたのかもしれません。

渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命

渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命

「大量フードロス」がメディアで話題に!日本の農業の未来をつくる若きイノベーターの戦略を凝縮した一冊

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