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「話し方」がうまくても、人を引きつけられない決定的な理由

学び

 情報をたくさん持っている人は一見すると賢そうに見えます。また、自身も情報をたくさん手元に入手すれば知識不足を補完でき、自信につながります。その一方で、アウトプットの重要性を見過ごしている人は意外と多いです。

職場

※画像はイメージです(以下同じ)

 今回は、「話し方」がうまくても、人を引きつけられない決定的な理由について、人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活躍する鈴木進介氏がお話します(以下、本人寄稿)。

会話はたどたどしいのに実績抜群

 研修などで受講生に「会話で苦手な点はどのようなことですか?」と聞くと、過半数の人が「伝えたいことがうまく整理できずに話が無駄に長くなること」と答えます。それだけ、シンプルに、でも具体的に密度の濃い話をするのは難しいものです。しかし、だからといって「話し方」をトレーニングすれば会話上手になるかといえば、そうとも言えません。

 今回は、アウトプット(特にコミュニケーション)の場面で、どのように「情報を整理」し、会話上手になれるのかについてお話していきます。昔、知人の紹介を受けてお会いした某外資系生保の営業マンがいました。

 40歳でトップセールスという噂を聞いていたので、肩の力を入れながらお会いした記憶があります。意外にも会ってみると、驚くほど会話がたどたどしく本当にトップセールスなの? と思うほど、雄弁さはありませんでした。ところが、話し出すとなんとも分かりやすく納得感が高いのです。その後、私が気持ちよくハンコを押した事実が物語っています。

精度が高い「型」を使っていた

書籍

鈴木氏の新刊『ノイズに振り回されない情報活用力』 (ASUKA BUSINESS)

 彼は、どのような情報を伝えるかや、雄弁に伝えるかではなく「相手にとって分かりやすく、理解できるように商品情報をうまくストーリー化していた」のです。仮に話し方がスムーズでなくても、事前に頭を整理できているため、相手にも訴求ポイントが整理されて強く伝わるわけです。

 これは、トップセールスマンようの名人芸なのでしょうか? 他にも仕事で成果を出している方を見ていると、決してそうではありませんでした。伝え方に関して自分のセンスや才能に頼らず、成果を出す上で精度が高い「型」をあらゆる場面で使っていたのです。

 時間、相手や場面を問わずに一定レベルで同じ成果を出せることを「再現性」と言います。成果を上げる人は、再現性が高い「型」を活用して、自身の頭を整理するところにコミュニケーションの工夫がありました。コミュニケーションは、話し方よりも型を使って頭を整理しておくことが大切というわけです。

ノイズに振り回されない情報活用力

ノイズに振り回されない情報活用力

「自分に必要な情報の効率的で精度の高い集め方(インプット)」から、「集めた情報の整理」、「情報を使いこなすための方法(アウトプット)」までを解説した、情報の本質を見極め、仕事の成果につなげていくために必要なスキルが身につく1冊

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