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男性も外見で評価される時代に?反ルッキズムのかけ声と現実

ビジネス

 昨今、「ルッキズム」(外見至上主義)に批判の声があがり、企業広告も過度に外見に言及する表現は抑えられるようになった。加えて、多様性が重視されるようになり、外見にとらわれず“自分らしさ”を尊重しようという気運が高まっている

容姿

※画像はイメージです(以下同じ)

 しかし、個々人の外見に対する意識が逆に高まっているように見えるのは、気のせいだろうか。整形願望のある人は少なくなく、最近では「メンズメイク」「メンズ脱毛」も普及しており、女性だけでなく男性も今まで以上に外見を気にする傾向が強まっているように感じる。

 相反する価値観が共存しているように見受けられる昨今。男性の外見に対する価値観の変化に加えて、婚活市場において男性の外見はどのように評価されるようになったのか、ジェンダー論や外見の社会学について研究する昭和大学准教授の須長史生氏に話を聞いた

女子学生は、男性の身長を気にしている?

「実証的なデータを用いて論じたいのですが、外見の評価に関する経時的なデータを持っていません」と話す須長氏。しかし、「私も男性の外見に対する評価は以前よりも重視されるようになったと感じます」という。

「私は昭和大学をはじめ、複数の大学で授業をしています。女子学生たちの様子を見ていると、とりわけ男子の“身長の高さ”を意識しており、『あの人、背低いよね』という会話を屈託なく交わしていますね。

 2言目には『でも、あの人って背高いじゃん』というセリフが聞かれるため、顔もそうですが、身長は大きく評価を左右する要素なのではないでしょうか

「多様化」と「外見重視」の皮肉な関係

須長史生氏

須長史生氏

 外見重視が強まっているなら、それはなぜなのだろうか?

「(筑波大学教授で社会学者の)土井隆義さんが『キャラ化する/される子どもたち―排除型社会における新たな人間像』(岩波ブックレット)でわかりやすく論じられていますが、以前は社会にある程度共通する価値観や正義感が存在し、それに従いながらある意味安心感を持って生きていました。

 ところが、時代が進み、価値観が多様化したことで、“他人からの承認”に対する意識が強まった。『趣味が一緒だね』『ユーモアがあるね』といった承認を他人から求めるようになりました。とりわけ“容姿”は個々人のアイデンティティに直結しやすく、外見の良し悪しはわかりやすいため、評価項目としての優先順位が非常に高いです

 多様化するのは良いことではありますが、現在は多くの人が他人からの評価にすがっている状況です。その中でもプライオリティの高い外見が重視されるようになったと思われます」

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