“日当2万6400円”内閣参与を、石原伸晃氏が辞任した経緯。参与は落選者の失業対策なのか
「落選したら、ただの人」に
すったもんだの末、山本候補が東京比例に回ることで落ち着きます。東京8区では、野党の話題が一色になったこともあり、迎え撃つ石原候補からも焦りの色が見え始めました。
自民党は重鎮の石原候補を落選させるわけにはいかないとして、10月27日に岸田文雄首相が石原候補の応援のために阿佐ケ谷駅前まで足を運び、熱心に演説をしています。そこには、地元・杉並の田中良区長も駆けつけました。東京8区は、まさに総力戦の様相を呈していたのです。
最後まで接戦だった東京8区は、吉田晴美候補が当選。石原伸晃候補は比例復活も叶わない敗北を喫しました。政治家は現職議員なら周囲の人たちから敬われ、かしずかれ、畏怖されます。が、「落選したら、ただの人」です。それまで「先生、先生」と慕ってきた人たちは一斉に離れていきます。次の選挙で再起を果たすまで、とにかく耐える日々が続くのです。
岸田首相の人事に疑問の声が噴出
落選した石原候補にも、そうした辛酸の日々になるはずでした。ところが、先述した通り岸田文雄首相が石原伸晃氏を内閣官房参与として起用することを発表。内閣官房参与とは、首相に意見や助言、情報提供などをすることを任務とする非常勤の公務員です。もちろん報酬もあり、日当は2万6400円。
石原氏を内閣官房参与に起用したことは、野党支持者のみならず自民党支持者からも疑問の声が噴出しました。なぜなら、落選したにもかかわらず、首相の気持ちひとつで政府の重職に起用されるなら、選挙をした意味がないからです。
これは民主主義を冒涜する行為のようにも映ります。岸田首相の人事に対して、ツイッターでは「#石原伸晃の内閣官房参与任命に抗議します」のハッシュタグがトレンドに入るほどの事態に発展しました。
通常、落選した議員は無職となり、当然ながら給料はありません。それを考えると、落選した石原伸晃氏が内閣官房参与に就いたことは失業対策のようにも映ります。そうしたことが、多くの人たちから反感を買った結果、辞任に至ったことは言うまでもありません。