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バルミューダフォンに早くも暗雲。過去のKDDIの失敗に見る“デザイン携帯”の難しさ

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「au Design project」とは

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左から INFOBAR/INFOBAR 2/INFOBAR C01/INFOBAR A01

 au Design projectとは、“性能よりデザインに力を入れた携帯電話”の開発プロジェクトです。KDDI株式会社(以下KDDI)と沖縄セルラー電話株式会社が、2001年より開始しました。

 もっとも有名なのは、2003年に発売された“INFOBAR”でしょう。折り畳み型が主流だった当時、ストレート型の「デザインケータイ」は大きな話題に。同年の「ケータイof the Year 2003」(ケータイWatch、株式会社インプレス)を受賞しています。先に述べた、“ishicoro”は、同プロジェクトのコンセプトモデル(未発売)です。

「河原で拾った手のひらサイズの丸い石ころを3Dスキャンし、二つに割って折り畳み式の携帯電話に仕立てる」「情報を象徴する長方形の光がぼわっと透過し、虫の音と同期して着信を知らせる」。このコンセプトを読んだとき「メチャクチャ欲しい!」と思ったものです。

ケータイは「中身より外見」だった

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左から MEDIA SKIN/ W11K

 その他にも「じゃがいもを水洗いしているときのような、手のひらの心地よさ」をモチーフとした“W11K”、持ったときの触感に工夫を凝らし「第二の皮膚」と表現した“MEDIA SKIN”など。著名なデザイナー達が、多様なデザインケータイを開発しました。プロジェクトを主導した、KDDIサービス統括本部の砂原哲氏は、次のように言っています。

「機種はたくさんあるのにデザインはどれも似たものばかりで、どうしてもっといいデザインのいいケータイが出てこないんだろうとみんな心の中で思っていました」(2020年「TIME&SPACE by KDDI」記事内の発言より)

 当時のケータイはスペックに差がない。いや、スペックがブラックボックスでわかりづらいものでした。加えて、画面が小さいため、デザインの自由度が高い。いいデザインにすれば、他社と差別化できる。「中身より外見」。そんな時代だったのです。

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