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賃金が上がらない日本を待つ「最悪の状況」。原油高&円安でオイルショック以上の値上げに

コラム

増える支出に、減る給料…

スタグフレーション

経済アナリスト・森永康平氏

 コロナ前の水準まで経済が戻るにはまだ時間がかかる。このような状況下で一気にインフレが進んだ場合、我々はどのような痛手を被るのか。森永氏が具体例を挙げてシミュレーションする。

「このまま原油高が進むと、1か月後にガソリンがリッター170~180円台に突入する。そして数か月遅れで電気代が値上げ。さらに食品メーカーも次々と値上げし、低所得者の場合は毎月の支出が2割ほど増える。でも給料は増えず、減る可能性すらあります」

 オイルショック当時も狂乱物価で景気は一気に下降局面に入り、不況とインフレの同時進行は「スタグフレーション」と名づけられた。今回の「インフレ」危機に重なる共通点は何かあるのか。

「どちらも原材料費の値上げに端を発するコストプッシュ型のインフレであることです。これから日本でスタグフレーションが起きるとすれば、多くの企業が価格転嫁した瞬間に一気に表面化すると思います。そこでダメージの大きな貧困層をケアしないと社会が不安定化してしまう。僕は2019年に出した本で『ジョーカーが増える』と書きました。日本人は欧米のようにデモなどに行かず『俺も死ぬから周りを巻き込んでやる』という方向に行きがちですから」(同)

重要なのは「賃金デフレ」を抑えられるか

スタグフレーション

 森永氏はスタグフレーションを抑えるには、「経済成長を促すしかない」と言う。

「重要なのは『賃金デフレ』を抑えられるか。物価が上がっていくのに賃金が変わらないのが苦痛なのであって、上がっていれば問題ないわけですから」(同)

 2%の物価上昇を目指すも、30年来デフレに喘いできた日本でインフレが進むのか? スタグフレーションという最悪のシナリオが現実味を増している。

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