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賃金が上がらない日本を待つ「最悪の状況」。原油高&円安でオイルショック以上の値上げに

コラム

 原油などのコモディティ市況が急上昇し、世界中でインフレが進行中だ。日本も例外ではなく、一般物価が上昇しだし、そこへ円安が拍車をかけている。不況とインフレが同時発生する「スタグフレーション」の悪夢が現実味を帯びてきた――。

スタグフレーション

世界の最悪のデフレ脱却シナリオ

「高インフレが持続するリスクは明らかに高まっている――」

 2021年12月1日、FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は議会でこう証言し、翌2022年、FRBが行うとされているテーパリング(量的緩和の縮小)について、改めて「(実施時期の前倒しを)加速すべきだ」との認識を示した。

 2021年11月に発表された米国のCPI(消費者物価)は前年同月比(10月)で6.2%上昇と、実に31年ぶりの高い水準となったが、インフレに対する懸念は米国だけではない。英国でも過去10年で最大となる4.2%と急上昇。ドイツは4.5%、カナダも4.7%……と軒並み高い数値を示しているからだ。

スタグフレーション

総務省統計局「消費者物価指数」(月報参考表)

原油価格の動きは先行きが不透明

 元参議院議員で経済評論家の藤巻健史氏はこう話す。

「インフレの主な要因は2つある。1つはコロナ禍で激減した需要が回復し、人手不足や貨物船渋滞が象徴する物流の停滞が起こったこと。もうひとつは原油をはじめとする資源価格の高騰と見られている」

 感染第5波がひと息して以降、経済活動が一気に再開したことで大きな地殻変動が起きている。人手不足などはいずれ解消されると見られているが、原油価格の動きは先行きが不透明だ。

スタグフレーション

経済評論家・藤巻健史氏

「OPEC(石油輸出国機構)プラスなどの産油国が需要増に見合った増産を見送り、原油高に拍車をかけた。米国はこれを抑え込もうと石油備蓄の放出を各国に呼びかけ、日本や中国なども協調する見込みだが、原油や為替のように市場が大きければ国家が介入しても影響はごくわずか。備蓄放出は、相場のあや(小幅な値動き)くらいの効果しか期待できません」(藤巻氏)

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