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賃金が上がらない日本を待つ「最悪の状況」。原油高&円安でオイルショック以上の値上げに

コラム

今後も駆け引きは続く見通し

 南アフリカで確認され、世界中で急拡大している新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の出現により、原油価格は下落した。12月2日にはOPECプラスが開催され、需要減を警戒し、増産を停止する案も取り沙汰されたが、結果的に見送られている。

 ただ、米国などが求める追加増産には応じなかったことから、今後も駆け引きは続く見通しだ。

経済回復の早い国からインフレが進んでおり、米国が先頭を走っています。私は現在の米国のインフレは、1980年代に起きた日本のバブルと同じ要因と見ている。当時の日本同様に、株価は史上最高値圏で、不動産価格も高騰。今後、資産価格の上昇が波及し、激しいインフレになる可能性がある。仮に、米長期金利が上昇するようなことになれば、日本の長期金利も上がり、日本国債は暴落。日銀に天文学的な評価損が発生して瞬く間に債務超過に陥り、円は紙くずになる……。最悪の場合、国内経済を破綻させるレベルのインフレも免れない」(藤巻氏)

値上げのインパクトはオイルショック以上

スタグフレーション

国際原油価格の動向に大きな影響を及ぼす石油輸出国機構(OPEC)プラスの会合。直近では12月2日に行われた

 藤巻氏によると、インフレ率が毎月50%を超えるような異常な物価上昇の可能性もあるというから驚きだ。日本のCPI(消費者物価)を見ると、今なおマイナスだが、これは嵐の前の静けさなのか……。経済アナリストの森永康平氏が説明する。

「日銀が発表する企業物価指数の“素原材料”を見ると、前年同月比で63%も上昇するなど、日本も、すでに企業ベースでは激しいインフレになっている。なぜ消費者物価指数でマイナスなのかと言うと、最終消費者が値上げに敏感すぎて反映できていないだけなのです

 世界的なインフレの波は日本にも確実に押し寄せているが、さらに気になるのは、藤巻氏が「日本は円安によって二重にダメージを受ける」と指摘している点だ。

 日本は1973年と1979年に2度のオイルショックを経験した。このときの物価上昇は「狂乱物価」と言われ、深刻な不況を招いている。だが、2度目のオイルショック当時は円高基調にあったため、原油以外の輸入品もすべて値上がりしたわけではなかった(便乗値上げは除く)。

「当時はトイレットペーパーが品不足になるのではと噂され、僕も家族総動員でスーパーマーケットに並びましたよ。ただ、あのときは石油だけの問題にとどまった。現在のインフレは円安ですべてのモノが値を上げており、インパクトは比べ物にならないほど大きい」(藤巻氏)

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