男女の枠から出発しない“ゆっきゅん”のフェミニズムとの出会い「すごく救われた」
自由な選択肢に気づいた今
――現在と昔を比べて変わった部分があれば教えてください。
ゆっきゅん:今までは変わったと思っていたのですが、最近は実は全然変わってないなと思うことが多いです。前は過去の話をすることが苦手で、2014年に岡山から上京し、大学から東京で何にも捉われずに生きようと思っていました。
自分の記憶が岡山と東京で隔絶している感覚があったのですが、2、3年前くらいから「自分はこういう人間なんだ」「自分はこう生きてきたんだ」と自分自身を認めはじめることで、むしろ地元にいた時代も今も変わってないなと思うことが増えました。
――自分自身を形成するものは変わっていなかったのですね。
ゆっきゅん:ただ、服や見た目に対する考えは変わったと思います。高校生の頃は平日は制服で、土日も部活か塾か…みたいな感じで。かわいい筆箱は使っていましたが、今のようにかわいい洋服を着て自分を演出する機会はそもそもありませんでした。
その点でいうと、東京に来てから自由な選択肢は増えたと思います。というより、今までは選択肢があることがみえていなかったのかも。「かわいい服装が意外と自分に似合うな」とか「服装でやってはいけないことって意外とないのかも」と気づきを得られたのはよかったです。
かわいいものにトキメキを抱くきっかけは小3の頃…
――自由な選択肢がないことで生きづらさを感じたことはありますか?
ゆっきゅん:服装について言えば、特に生きづらさはなかったと思います。というのは懐疑心が芽生えてないからだろうけど、そもそも今のようなファッションをやる発想がなかったです。
小学3年生の頃、岡山の駅前の映画館で『下妻物語』という映画を見て、初めてこんなにもかわいい服装や面白い物語、その全てが詰まった「映画」という表現があることを知りました。
そのときから、嶽本野ばらさんの本を読んだり、BABY,THE STARS SHINE BRIGHT(ベイビーザスターズシャインブライト)というロリータファッションの通販サイトを見て、洋服の絵を描いたりしていました。でも、当時はその服を着たいとは思っていなかったんですよね。