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『青天を衝け』はこれからが面白い。実は資本主義の父じゃない渋沢栄一の生涯

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 2024年に使用が開始される新しい1万円札の印刷が9月1日から始まりました。新1万円札は、渋沢栄一の肖像が描かれています。1万円札の肖像に渋沢が起用されることに関して、「日本の資本主義の父だから相応しい」との声がある一方で、「実業家が1万円札の顔になるなんて生々しく感じる」といった戸惑う声も聞こえてきます。

渋沢 1万円札

新たな1万円札の顔は渋沢栄一に(※財務省の公式ツイッターより)

 渋沢は生涯で500を超える企業を興したことから現代では資本主義の父と呼ばれます。しかし、実際には「資本主義」という言葉を好まず、本人は「合本主義」という言葉を用いていました。その理由を『渋沢栄一と鉄道』の著者・小川裕夫が解説します。

『青天を衝け』はこれから面白くなる

 2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』は新型コロナウイルスの感染拡大により、撮影・放送スケジュールに狂いが生じました。その影響を受けて、今年の大河ドラマ『青天を衝け』は2月14日という異例のスタートになっています。さらに、2021年は東京五輪の中継も重なり、7月から断続的に5週間もの放送休止を挟むことになりました。

 放送回が少なくなったこともあり、ファンからは『青天を衝け』のストーリー展開が駆け足になってしまうのではないか? という心配も出ていました。

 江戸時代、武蔵国の富農として生まれ育った渋沢は優れたビジネスセンスで危機を乗り切り、大実業家の片鱗を見せます。しかし、本領が発揮されるのは明治以降になってからです。つまり、これからが『青天を衝け』の見どころでもあり、渋沢が大車輪の活躍を見せるのです

 そして、ようやく9月12日放送回から『青天を衝け』は静岡編へと突入しました。江戸時代までが近世、明治以降が近代と時代区分されるように、江戸と明治は社会が異なります。江戸と明治の大きな点は、なによりも国家体制にあります

パリでの経験が大きな財産に

『青天を衝け』

画像は『青天を衝け』公式サイトより

 それまで、徳川将軍家を頂点とする武士たちが政治を担い、身分制も明確でした。渋沢家は武蔵国(現・埼玉県)の農民でしたが、藍玉生産・販売などを手がけるなど幅広くビジネスをしていたこともあり、周囲の農民たちからは信望も厚く、苗字も許されています。渋沢は旧主の徳川慶喜を慕って静岡に居を移しています。

 富農だった渋沢は武家社会との接点もあり、ひょんなことから後に将軍となる一橋(徳川)慶喜に仕えます。しかし、慶喜は新政府へ政権を返上。新政府から謹慎を命じられました。幕府が倒壊した頃、渋沢は慶喜の命でフランスのパリに滞在していました。パリで、渋沢は株式取引や電気・上水道・鉄道などの公共インフラを体験。その経験が帰国後に役立つのです

 しかし、渋沢がパリから帰国すると、幕府は消滅していました。そのため、渋沢は慶喜を慕って静岡へと居を移します。慶喜は謹慎中だったこともあり、渋沢は徳川宗家を継いだ徳川家達に仕えることになったのです。静岡藩に出仕した渋沢は、旧幕臣と商人たちが力を合わせて産業を振興することを発案。それまでの身分制では、武士と商人は大きく立場が違います。それだけに、武士と商人が力を合わせるようなことは考えられません。

 これまでの旧習を引きずっていた静岡藩の武士たちは商人と一緒に作業することをよしとせず、一悶着が起きたようです。それでも、渋沢は持ち前のバイタリオティで武士と商人の間を取り持ち、困難を乗り切りました

渋沢栄一と鉄道

渋沢栄一と鉄道

2021年の大河ドラマ主人公で近年注目を集める渋沢栄一。数多の企業を興し、日本の「資本主義の父」とも称される渋沢だが、多くの鉄道会社を立ち上げ、サポートもしていた!日本の近代化における鉄道の役割、単なる交通インフラではない、街を、産業を、経済を発展させるツールとしての鉄道の在り方を考える一冊

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