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ジョブズ死去、クックCEO就任…Appleの’10年代は「停滞期」だったか

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Amazon・Facebook・Microsoftの2011年

Fire HD 8 タブレット

Fire HD 8 タブレット

 2011年のAmazonは「通販サイトの一番手」として君臨。今日では「Fire」タブレットや「Echo」スピーカーなど、自社設計のデバイスを売りまくり、小売以外のサービス(Kindle/AWS/Amazon Prime Videoなど)で大きな収益を挙げているが、当時はまだ通販が主業と考えられていた。

 アメリカきってのやんちゃ坊主であるFacebook社が日本に上陸したのは、前年の2010年である。当時主流のSNS「mixi」から徐々にシェアを奪った末に、2010年代をかけて「中高年層のSNS」として定着し、存在感をやや減じつつ現在に至っている。

 GAFAからは外れるが、Microsoftもデジタル界の巨人である。当時最新のMicrosoft製OSは「Windows 7」だったが、家庭やオフィスでは「Windows XP」を搭載したPCが平然と利用されていた。特例として、2014年までサポートが延長されていたからだ。

 2011年といえばWindows 7への移行が思うように進まず、関係各所がもがいていた頃であった。そのWindows 7がいまや過去の遺物なのだから、まさしく十年一昔という感じがする

10年前にはなかったもの

ネットフリックス

Netflix is most popular video streaming platform © Piotr Adamowicz

 この10年間でも、GAFA + Microsoftという主要アクターの顔ぶれ自体は変わらなかった。しかしデジタル界隈に、いくらかの“新顔”が登場したことも確かである。

 とりわけ、NetflixやSpotifyといった「サブスク(定額制)」ビジネスが存在感を強めた。イニシャルコストを嫌うアメリカ人の間でまず受け入れられ、今日では世界中に市場を拡大している。Amazon PrimeやOffice 365(Microsoft)など、最近はGAFAのビジネスモデルも「サブスク」に寄せている。

 ハードウェア面から「10年前になかったもの」を考えると、Amazon Echoなどのスマートスピーカーや、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスが挙がる。しかしどれも機能は限定されており、かつての家庭用パソコンやiPhoneのように「新時代が到来した」とまでは言い難いのが実情だ。ドローンの進化も著しいが、日常風景の中に見かけるまでには至っていない。

 冒頭で立てた問いに対し、「GAFAは過去10年間に何も成し遂げていない」とするのは乱暴にすぎる。しかし「ガジェットの発明」という観点からは、ジョブスを失ってからの10年間は、やはり停滞期だったのではないだろうか。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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