視聴率は「個人」の時代へ。テレビ離れの意外な側面をビデオリサーチに聞いた
2020年に調査設計を大幅リニューアル
2020年4月には関東、関西など民放5局以上が放送される大都市圏で、調査世帯の規模を2~3倍に拡大。また地区によって異なる部分のあった調査設計の統一を進めた。いったい何が理由でリニューアルを進めたのだろうか。
「調査世帯の中で誰がどの番組を視聴したかといった、個人まで把握できる“機械式個人調査”は1997年に関東地区でスタートしました。これまでの対象エリアは関東・関西・名古屋・北部九州のみでしたが、現在は視聴率調査の対象である全27地区で個人視聴率を提供しています。また、以前は毎月特定の2週間だけを調査しているエリアもありましたが、27地区の全てで毎日の視聴率が個人単位でわかるようになりました」(長谷川氏)
関東地区の視聴率調査では、これまでの900世帯から2700世帯に調査世帯を拡大しているが、この調査世帯数についても聞いてみた。
調査対象から疑われることも多い
「視聴率調査は、国や自治体、マスコミなどが実施する世論調査と同様に、統計理論に基づいた標本調査です。標本誤差(=統計上の誤差)を伴います。サンプル数が多ければ考慮すべき誤差幅は小さくなります。関東地区のサンプル拡大によって誤差の幅も縮小しましたし、対象となる個人の人数も大幅に増えたことで性年代だけでない様々な切り口で視聴データを分析しやすくなりました。」(長谷川氏)
このように調査世帯に選ばれた人たちはどんなリアクションする人が多いのだろうか? 亀田氏はこう語る。
「我々の部署は毎日のように調査対象になったお客様からのお電話を受ける部署でもあるのですが、『こんなチラシがあったんですが、本当にやっているんですか?』と疑われることが1番多いです。
視聴率調査の実態を公表していないため、都市伝説みたいになってしまっているうえ、インターネットでの調査が当たり前のこのご時世に、リアルに訪問までする調査ってなかなか少ないので……」(亀田氏)