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不祥事が止まらない東芝。名門を転落させた3つの“事件”を解説

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 日本の経済界を牽引してきた東芝が、揺れに揺れています。2021年6月10日に東芝が公開した第三者報告書によると、東芝は経産省と結託して、東芝株を4.43%保有するハーバード大学基金に圧力をかけたとしています

東芝

東芝の本社事務所が入居する浜松町ビルディング

 かみ砕いて説明すると、東芝にとって都合の悪い株主提案に同調しないよう、経産省と東芝が連携して外国人投資家を懐柔したということです。

 4月には海外の投資ファンド・CVCキャピタルパートナーズに身売りするという話さえも出ていました。東芝はなぜここまで身を落とすようなことになったのでしょうか。この記事は東芝が凋落した背景を解説したものです。

転換点となった「3つの出来事」

 2000年以降で東芝の転換点となった出来事は大きく3つあります。1つ目は「チャレンジ」で有名な粉飾決算事件。2つ目は米ウェスティングハウスの巨額買収。そして3つ目は買収によって生じたのれんの減損損失に端を発する債務超過への転落です。東芝については、この3つの出来事を理解すると、ほとんどすべてのニュースが一つに繋がります。

 まず、粉飾から説明します。東芝は2015年の調査で、合計2300億円も利益を水増ししていたことがわかりました。巨額の不正会計事件により、当時の経営幹部だった田中久雄社長や佐々木則夫副会長、西田厚聡相談役の歴代社長経験者を含む9人が、引責辞任する事態へと追い込まれています。

 なぜ粉飾に手を染めたのかと言えば、業績が伸び悩んでいたからに他ありません。例えば、東芝のノートパソコンは2013年にシェア20.9%を占めていましたが、2015年には17.4%まで落としています(BNCランキング:「ノートPCの年間販売台数シェアの推移」より)。

転落が決定的となった粉飾決算

東芝 パソコン

 窮地に陥った東芝はPCの販売台数を伸ばす努力をせず、会計操作でその場を凌ごうとしました。東芝はパソコン、工事、映像、半導体の4分野で不正会計に手を染めていましたが、ここではパソコンの例を簡単に紹介します。

 当時、東芝はパソコンの製造を、台湾などのメーカーに発注していました。半導体などの部品を安く調達し、それを組み立てて、メーカーに高く販売。メーカーは調達した部品でパソコンを組み立て、東芝に卸します。東芝は完成したパソコンに利益をのせて消費者に販売するのです。東芝は部品とパソコンの販売で、二重の利益を得ていることになります。

 ただし、これ自体は製造コストを安く抑えて利益を出す、よくあるスキームです。東芝はこの取引を悪用し、半導体などの部品を、パソコンの製造に必要な数以上にメーカーに販売したのです。これは「押し込み」と呼ばれる典型的な粉飾手法です

 当時社長だった佐々木則夫氏はパソコン事業の責任者に対して、「3日で120億円の利益改善」という無茶苦茶な目標を与え、「チャレンジ」だと部下を“鼓舞”しました。それがすなわち粉飾を指示していたことは明らかでした。いわば常態化していたのです。一連の不正会計により、東芝の信用力は失墜します。東芝はガバナンス体制が最大の弱点となったのです。

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