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“ポスト古田”と言われた元野球選手が、球場で飲食店経営「挑戦しないことが一番良くない」

ビジネス

飲食店経営者としてのキャリアをスタート

 2015年に北海道日本ハムファイターズに移籍。コーチ兼任選手としてプレーした2016年に「選手1本でやりたかった」という想いから、翌年の契約オファーを断り、現役生活に別れを告げた。

 プライベートでは結婚を経て、2017年3月にグルテンフリーやオーガニックにこだわる自然食カフェレストラン「inning+(イニングプラス)」を東京・下北沢にオープン(現在は閉店)。「迷いもあったが、厳しい道にチャレンジしたい想いのほうが強かった」そうで、飲食店経営者としてのキャリアをスタートさせる。

 両親が地元・北海道小樽市で喫茶店を営んでいることや、食事を変えたことで体調やコンディションに変化が見られた選手時代の経験も、その決断を後押ししたという。現在はホームゲームがある日には、毎試合「BACKYARD BUTCHERS」の店頭に立って接客を続けている。

「まずは皆さんに、『ヴィーガン食品』を取り扱っている自身の活動を知ってもらって、今後はオリジナルの商品の販売や、海外展開も力を入れていきたい。加えて、せっかく球場で店をやらせていただくので、食事を改善する大切さをアスリートやプロの人たちにも発信していきたい。コロナ禍ですが、おかげさまで順調なスタート切れたと思っています。スタジアムに来た時には、ぜひ声をかけてほしいです」

挑戦しないことが一番良くない

BACKYARD BUTCHERS

フライドソイチキンボウル(1000円)が1番人気だそうだ

 最後にプロ選手時代を通じて得た学びについて話してもらった。それはビジネスや人生そのものにも応用できることだという。

「僕は失敗ばかりで、結果としてチャンスをモノにすることもできなかった。野球ではミスをしても、すぐに次の試合がやってきて、失敗を取り戻せるチャンスがあった。『気持ちの切り替え』が大切だとは言われますが、次の結果が出るまでは、なかなか切り替えられないのが本音でした。

 野球は失敗が多いスポーツですが、それでも打席に立って、挑戦を続けるしかない。僕は『挑戦しない』ことが、一番良くないと思っています。時に失敗することもありますが、現状のままでは成長にも繋がりませんからね

 元選手によるスタジアムでの店舗運営という、これまでにない取り組みを続ける米野さん。その「挑戦」にも、選手時代と変わらぬ声援を送りたい。

<取材・文・撮影/白鳥純一>

【米野 智人】
1982年、札幌市生まれ。北照高からドラフト3位で捕手としてヤクルトスワローズに入団。入団当初から“ポスト古田”の一番手と期待された。西武、日本ハムを渡り歩き、2016年で現役引退。引退後は、“体の中から綺麗に健康”がコンセプトのカフェ「westside cafe」を4年経営。現在は、古巣である埼玉西武ライオンズの本拠地・メットライフドームにて新規店舗を出店

エンタメ関係のイベントプロデューサーを経て、ライターとしての活動を開始。 編集業務のほか各企業のメディア運営などに携わる

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