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“ピザ御三家”で万年3位のピザハット。コロナ禍で生まれた「逆転の一手」

ビジネス

 コロナ禍でテイクアウトやデリバリーニーズが増えたことで、宅配ピザ業界は盛り上がりを見せている。宅配ピザチェーン各社は、高まる巣ごもり需要に応えるために激しい競争を繰り広げている状況だ。

 そんななか、ピザーラ、ドミノ・ピザに次いで業界3位のピザハットは「置きピザ」や「お車ピザ」といったコロナ対策や個食ニーズに合わせた新商品「MY BOX(マイボックス)」を展開し、生き残りを図っている

ピザハット

日本ピザハット株式会社 マーケティング部長の小田 寛氏

 日本ピザハット株式会社 マーケティング部長の小田 寛氏に、ピザハットの今後の事業展開について話を聞いた。

ピザハットのルーツは“レストラン”

 ピザハットは1991年に日本ケンタッキー・フライド・チキン(現・日本KFCホールディンス)傘下の宅配ピザとして国内事業を始めた。ピザーラ、ドミノ・ピザはそれぞれ1985年、1987年に宅配ピザ事業を開始しており、“宅配ピザの御三家”の中でも最後発だったのだ

「1991年に宅配ピザの御三家が揃い踏みとなり、戦いの火蓋が切って落とされたわけですが、そこから常に他社を意識しながら事業を作っています」と語る小田氏は、ピザハットのルーツが他社と異なる点についてこう述べる。

「現在は宅配ピザを生業にしていますが、ピザハットのルーツは『レストランビジネス』にあります。もともと日本上陸をした1970年代は、イートイン形式のピザレストランとして営業していました。当初は本場アメリカの本格的なピザが食べられると話題になりましたが、『ピザを食べにレストランへ行く』という文化は日本に根付かなかった。

 またピザーラ、ドミノ・ピザが先にデリバリーを始めていたことから、ピザハットも宅配ピザへと方向転換していきました。ただ、御三家の中では唯一レストラン発祥のデリバリーチェーンなので、他社が“便利さ”や“スピード”を追求するのに対し、ピザハットは“味”と“サービス”にこだわりを持ちながら、ずっと運営をしてきています

「日本人好みのピザ」でリードしたピザーラ

 1990年代以降、宅配ピザは日本人のライフスタイルに定着していき、各社ともシェア争いを加速させていく。そんな状況下、頭ひとつリードしたのは日本発祥の宅配ピザチェーンであるピザーラだった。

「ピザーラお届け!」のCMで頭角を現し、またテリヤキソースを絡ませたチキンに、マヨネーズで味付けした「テリヤキチキン」は、今でこそピザの大定番だが、1998年にピザーラが初めて世に出した。

「ピザーラさんは、日本人好みの味をうまくピザとして具現化させている分、海外発のピザハットやドミノ・ピザさんに比べて日本人に受け入れやすかったんだと思います」

 他方、ピザハットも他社の興隆に負けじと、2000年には現在でも不動の人気商品である「特うまプルコギ」を発売。甘辛ダレで味付けしたプルコギに特製マヨネーズソースをかけたピザは、“やみつき”になる味としてヒットした。

ピザハット

ピザハットの定番商品である「特うまプルコギ」

ピザハットはピザ生地のバリエーションの豊富さはもちろん、他社に先駆けてピザ耳の部分にチーズを入れるなど、独自性のある商品開発を行ってきました。また、テレビCMにはタレントを起用し、知名度を上げることにもずっと取り組んできましたね。宅配ピザ業界の動きは早いので、商品開発や広告、出店は非常に重要な要素。他社に追いていかれないよう、常に業界の動向や取り組みは意識しています」

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