平均年収1840万円のキーエンスを辞めて「大食いYouTuber」になった理由
ビジネス系YouTuberから大食い動画へ
オックン:ただ、当初はもっと頭を使って情報発信をしていきたいと思っていたので、抵抗がありました。YouTuberになりたての頃は「キーエンスから無職になりました。面白いでしょ?」みたいなのを前面に出して、次にキーエンスで学んだビジネスノウハウを教える講座形式、「わらリーマン」の活動のアウトプット、今の大食いときて、だいぶ変貌を遂げています。
――「わらリーマン」では、働く社会人によるお笑いを推進していますけど、これまでの経験のなかで仕事とお笑いの領域がリンクする部分はありますか。
オックン:学生時代のお笑いの経験がキーエンス時代の営業の仕事に生きてきたというのはありましたね。例えば、仕事の商談は1対1から1対3で臨むことになりますけど、お笑いの場合は1対100とかにやるものなので、1対3程度で緊張したり臆することはなくなります。社会人1年目はお笑いの経験に助けられました。
お笑いと仕事で求められるスキルは親和性があるとも感じてもいるんですよね。お笑いのネタを考えるのは企画立案で、同僚とのネタ合わせはコンセンサス。営業先への商談が舞台上での本番にあたると思います。
お笑いでスベることがあるように、商談で伝えたいことが上手く伝えられないことがある。スベったあとにどこが悪かったのかを検証して改善するのは、PDCAサイクルに通じますよね。お笑いには仕事で求められるスキルがぎゅっと詰まってると思うんですよ。
“趣味としてのお笑い”を当たり前にしたい
――今後はどのような活動を?
オックン:僕もそうだったけど、芸人を目指している若者のなかには、お笑いを続けるか夢を諦めて就職するかで悩む人が多いんですよね。プロ芸人になったら社会的な安定を捨てなきゃいけない、逆に就職して会社員になったら一生お笑いはできないというような。
例えばテニスなら、社会人になったらテニスはできないというふうに悩むことはない。それはテニスが社会人の趣味として確立されているからですよね。ゴルフやフットサルも仕事と両立できるのが当たり前なのにお笑いはそうじゃない。
社会人でもお笑いができる場を作りたいと思ったのが「わらリーマン」を始めた動機でもあります。僕の使命は、日本で“趣味としてのお笑い”を当たり前なものとして世の中に浸透させることだと考えています。
具体的には、企業対抗のお笑い大会を開催したいです。ラグビーとかアメフトの企業対抗競技みたいに。「今年のトヨタのネタ強いらしいよ」、「JRはコントでくるらしいよ」みたいな(笑)。そんな日本になればいいと思っていますし、実現できるんじゃないかなと思っています。