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大黒屋の社長は元GSの超エリートだった。華僑に学んだ“お金の修羅場”

ビジネス

 かつて貴金属や宝石、ブランド品を売るところといえば質屋が主流であった。それがリサイクルショップの台頭や、ネットオークション、フリマアプリの普及によってリユース市場が多様化し、現在では競争激しい業界となっている。

大黒屋

株式会社大黒屋の代表取締役社長 小川浩平氏

 そんななか「コメ兵」や「バリュエンスHD(なんぼや)」と並び、ブランドリユース業界大手として知られる「大黒屋」。今回は株式会社大黒屋の代表取締役社長 小川浩平氏に、2019年にデジタルトランスフォーメーションのリブランディングを行った背景や今後の事業展望について話を聞いた。

金融のプロとしてNYで研鑽を積む

 小川社長は大学卒業後に総合商社へ入社。入社3年目の25歳で、ニューヨークでの駐在を経験する。

「80年代当時は『Japan as No.1(ジャパン・アズ・ナンバーワン)』の真っ只中。日本人というだけで注目されていたので、駐在先のニューヨークでも幅なんか利かせていた。それからコロンビア大学経営学にて経営学修士号(MBA)を取得し、ゴールドマン・サックス&カンパニーの米国本社に入りました。そこではLBO(レバレッジド・バイアウト)ファイナンスを中心に、企業買収や投資事業の案件に携わってきました」

 LBOとは、M&A手法のひとつで、買収先企業の将来性や資産価値を担保にして金融機関や投資ファンドから資金調達をするスキームである。小川社長はファイナンスのプロとして金融機関、投資家との交渉やエクイティ業務を幾度となく経験し、いくつもの企業買収に従事してきた。

今でも心に留める「華僑の教え」

大黒屋

 1992年には、その敏腕を買われて香港の上場会社であり、香港華僑10大財閥の一端を担う「ファー・イースト・コンソーシアム・インターナショナル・リミテッド」の社長に抜擢。「ここでの経験が、今でも非常に活きている」と小川社長は言う。

「投資先は200社以上、それらを束ねる華僑の大番頭として事業経営をしました。当時は中国人が力をつけてグローバルに打って出ようとしている頃、そこの唯一の日本人として華僑から“ビジネスのいろは”をたくさん教えてもらいました。巨額の資金を動かすときには独自のネットワークを駆使し、華僑シンジケートを組む

 また、コミュニケーションも華僑同士は中国語を使いますが、私が入るときは英語で話し、意思疎通を図る。そのほかビジネスでも、不動産投資における投資対象、投資手法の心得やその資金調達のスキーム判断、株式トレーディングの定石、難所を乗り越える交渉力や意思決定の判断など、“華僑流仕事の流儀”を学んだ」

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