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消毒液が1か月で在庫切れに…「感染再拡大に備える」オフィス備品メーカーの覚悟

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喫煙スペースの「3密」改良も進む

テラモト

全自動検温器

 同社は清掃用具だけでなく、喫煙スペースの販売も手掛けている。受動喫煙対策として外部と区画されている喫煙スペースは、コロナが流行すると閉鎖されてしまうほか、同時に入室する人数が制限されるなどされている。ただ、「このような状況はかえって本来の業務に支障をきたす」と寺本専務は指摘する。

「ただでさえ、喫煙者は非喫煙者から『休憩が長い』と指摘されがちです。それに加えてコロナ禍では喫煙所が満室の場合は並んだり、別の喫煙所に移動したり、一端自分の席に戻って時間を見計らって喫煙所に向かうなどすると、大きな時間のロスにつながります。また、なかには無理やり喫煙所に入って『密』な状況を作り出してしまい、トラブルになったケースもあります」

 そのため、最近の喫煙スペースには人感センサーを設置して、モニターで喫煙スペースの状況を簡単に把握できるよう改良するケースも増えているという

喫煙所を利用する際は、ソーシャル・ディスタンスを維持できる1〜2m、2〜4平方メートル空けるようにしたほうがいいでしょう。 これを“ゾーニング”といい、喫煙所の4隅や、三角形になるなど喫煙所の大きさによって適切な位置は異なります。

 密集している場所は利用しないか、空くまで並んだほうが良いでしょう。オフィスや商業施設は、いろいろな人が居合わせる空間です。それぞれがストレスなく感染症予防を行えるような意識が必要ですし、私たちにはそれを促す空間づくりが求められています」

最新機器と工夫と意識でウィズコロナを迎える

 毎年、秋から冬にかけては、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症のリスクが高まる時期で、コロナの拡大も懸念されていた。実際、東京や北海道では再び感染者が急増している。これらの状況も踏まえて、最後に寺本専務にポイントを聞いた。

「コロナ禍のなかで病院や公共交通機関、官公庁のほか、オフィスビルや行き交う街など、徹底した環境美化や清掃が実施されてきたと感じています。もちろん、企業や組織だけでなく各人も同じです。

 来年がどうなるかまだ分かりませんが、弊社としてもひっ迫した状況下でもやれることはありました。求められるものだけでなく、さらに役立つものを生み出し供給できる体制を整えていきます。オフィスや商業施設などの利用者や管理者の立場に立って、ウィズコロナに合ったものを開発していきます

 これからは衛生用品や環境備品の真価を問われる時代になる。オフィスのエントランスや喫煙所などがどう変化していくのか、着目したい。

<取材・文・撮影/藤冨啓之>

WEBコンテンツ制作会社「もっとグッド」代表取締役。ライター集団「ライティングパートナーズ」の主宰も務める。オウンドメディアのコンサルティングのほか、ビジネス・社会分野のライターとしても活動

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