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「ブラックサンダー」が年間2億本も売れるわけ。濃厚バター風味も好調

ビジネス

 スナック菓子やビスケット・クッキーなど多種多様なお菓子があるなか、ザクザク食感とずっしりボリュームのあるチョコバーとして人気なのが「ブラックサンダー」だ。1本30円(税抜き)と手軽な値段で、今やブラックサンダーシリーズで年間販売数2億本に到達するまでの国民的人気菓子となった(※2018年/出荷ベース)。

有楽製菓

有楽製菓株式会社 マーケティング部課長の加藤武史氏

 今回は、そんなブラックサンダーを製造する有楽製菓株式会社 マーケティング部課長の加藤武史氏に、ブラックサンダーが大ヒットした理由や商品開発する上でのこだわりについて話を聞いた。

発売から10年間は全く売れなかった

 ブラックサンダーが商品化されたのは1994年。それまで、有楽製菓では「チョコナッツスリー」という軽い食感のチョコバーを販売していたが、「重い食感で、食べ応えのあるチョコバーを作りたい」と思うようになったのがきっかけだという。

「そこで、ココアクッキーとビスケットを加えてボリューム感を出し、30円という値段設定で売り出したんです」

 しかし、満を持して市場に出したブラックサンダーは当初、「全く売れなかった」と話す。

10年間くらいは、全く売れない商品でしたね。やはり30円という値段がターゲットにしていた子供には当時高く感じたのかもしれません。あまりにも販売数が伸びないので、1年間休売した時期もあります。ただそれでも、九州エリアの問屋さんから「なんでやめちゃうの」という声がありました。一度は終売しようと考えましたが、当時の九州担当の営業マンが『まだブラックサンダーを売りたい』と熱望していたため、細々と販売を続けていました

 ブラックサンダーが、九州エリアだけ好調だった理由については「正直よくわからないです(笑)」と加藤氏は言う。

大学生協から人気に火がつく

有楽製菓

1994年に発売された当時のブラックサンダー。まだローマ字表記で今のパッケージとは異なる雰囲気の商品だった

 転機が訪れたのは2003年。商品のキャッチコピーに「若い女性に大ヒット中!」と打ち出し、「BLACK THUNDER」から「ブラックサンダー」へとカタカナ表記へと変更。親しみやすいパッケージへとリニューアルした。

 また、九州地方だけでなく、大学生協に販路を拡大したことで、徐々に大学生を中心に名が知られるようになっていく。

2004年頃には、京都のある大学生協でブラックサンダーが販売数1位になったんです。そこから、次はコンビニへ販路を広げようと、九州地方のコンビニエンスストアで試験的に販売したところ、売り上げが好調でした。そこから実績を認められ、晴れて全国で販売するところまでこぎつけたんです」

 さらに、ブラックサンダーの人気を後押ししたのは著名人の影響もある。2006年に当時人気だった『生協の白石さん』のブログに掲載され、ブラックサンダーが取り上げられたほか、2008年には体操の内村航平選手が「ブラックサンダーは大好物で、日頃から食べている」と公言し、大きな反響を得ることに

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