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「ブラックサンダー」が年間2億本も売れるわけ。濃厚バター風味も好調

ビジネス

斬新な「義理チョコ」プロモーションに反響

有楽製菓

ブラックサンダーの大袋タイプである「ファミリー」シリーズ。ミニバーサイズで気軽に食べられるように工夫されている

 一時は終売も検討したブラックサンダーだが、幸運も重なって成長の一途を辿り始めた。2011年には、これまで行き当たりばったりでやってきたのを「ブラックサンダーの良さがしっかり伝わるように、訴求していきたい」と、マーケティング部門を設立

「個食タイプ以外にもお土産用の商品ラインナップを広げるなど、幅広い展開を行ってきましたが、2013年のバレンタインデーに合わせて行った『一目で義理とわかるチョコ』の広告が分岐点でしたね」

 東京メトロ丸ノ内線新宿駅構内に、大型ポスターの掲示と自動販売機を設置し、通りすがりの歩行者に訴求する広告だったが、「一目で義理とわかるチョコ」というインパクトあるメッセージや、斬新なマーケティングだったため、多くのメディア露出に成功。

 自動販売機に並ぶ様子がSNSで拡散され、ブラックサンダーの認知度アップに繋がったとともに、大々的な広告を仕掛けたことで「初めて大きな話題を呼ぶことに成功した」施策だったという。

「ブラックサンダーらしさ」とは?

有楽製菓

インタビューは東京・小平市にある有楽製菓本社で行われた

 ブラックサンダーの商品開発では、2011年にチロルチョコやチョコボール、2016年にファンタ、2018年にフルグラなどとコラボした商品を作ったり、季節ごとに期間限定の味を出したりと、消費者に喜んでもらうために余念がない。

ブラックサンダーシリーズの商品開発は、消費者はどんな商品を求めているのか、何に喜ぶのかを考えて味やパッケージを決めていきます。それをブラックサンダーらしくまとめ、さらに担当者の想いを乗せて表現していきます」

 1年くらい前から企画案を出し、商品として完成するのは店頭に並ぶ半年前。基本的には年4回のシーズンごとに商品展開するサイクルだという。30円という安価な商品だが、ひとしおの思い入れを持って商品開発しているからこそ、「話題になった商品や、反対に鳴かず飛ばずで終わった商品は印象に残っている」と加藤氏は語る。

「これまでさまざまな味を出してきましたが、一番人気だったのは『ブラックサンダー大人のプレミアム』。1本50円と、大人のための贅沢なブラックサンダーとして打ち出したところ、想像以上の反響だったんです。冬の時期しか出せない商品ですが、通常のブラックサンダーの食感とは異なる『しっとり感』と『口解けの良さ』が好評を博し、ブラックサンダーの新たな魅力を伝える季節定番商品へと成長しました」

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