bizSPA!

老舗ホテルで働く新人が、24歳で「最速ソムリエ合格」できた理由

ビジネス

――京王プラザホテル以外に、志願したホテルはどこですか。京王プラザホテルに決めた理由も教えてください。

久保田:外資系のパークハイアット東京。また六本木にあるグランドハイアットも志願しました。京王プラザホテルに決めたのは、採用決定が一番早かったからです(笑)。もちろん、他にない魅力も感じました。まず京王プラザホテルにはテナントの店が少なく各レストランもバーも、ほとんどが京王プラザホテル直営です。

 テナントだとサービスが限られてしまう傾向がありますが、直営は統一テーマがありますからホテルが一丸となって接客できます。3か月に一度のワインフェアが行われて、おすすめのワインを各店舗で展開できるのも、直営ならではの魅力です。

名誉総料理長特別受賞晩餐会にソムリエとして接客

久保田晃

「ソムリエの仕事は緊張の連続です」

――ソムリエになってから、久保田さん自身の変化はいかがですか。

久保田:ソムリエコートを着用した瞬間に、「お客様から見られている」という気持ちが強く湧き上がりました。ソムリエコートが到着するまで2か月くらいかかりましたから、嬉しさはもちろんですが、同時に「お客様の前に出るのが怖い」という気持ちもありました。気が引き締まったのは間違いありません。

 ソムリエになってから、ワインの在庫管理も担っています。保存している全店舗300種類のワインの管轄です。温度や湿度の管理はもちろん、年代物の高級ワインもありますから、取扱には十分気を使っています。また他店舗からおすすめのワインを求められた時に応じられること、また伝票の際に金額を間違わないなど、緊張の連続です。

――ソムリエとして思い出に残るシーンはいかがですか。

久保田:ソムリエコートを初めて着用した2017年12月23日の夜のことです。20歳の誕生日のお客様のために「1996年ドン・ペリニヨン・ロゼ」を注いで差し上げました。感慨深かったですね。

 またその年の11月には、名誉総料理長の緑川廣親が「国際料理芸術クープドール・マリウス・デュトレイ」を日本人で初めて受賞したことを記念して、自ら腕をふるう特別晩餐会の開催のときに、お祝いに来ていただいたお客様たちを前にしてソムリエとしてサービスを担当したことです。緊張しましたが、誇らしい場のためモチベーションがアップしました。

――頑張れる秘訣と、将来のビジョンは何ですか。

久保田:専門学校時代から親友でなおかつライバルの存在です。彼はカクテルコンペティションで最年少優勝を果たしました。負けられないですね。将来の目標は、10年以上従事することで受験資格が得られるシニアソムリエの取得を取ること。日々、自己研鑽に励んでします。

接客業で大切なことは「自分も楽しむこと」

久保田晃

胸には、日本ソムリエ協会の認定バッジが光る

――ところで読者向けに、女性とデートする際に選ぶワインのコツを教えてください。

久保田:最近はカジュアルなダイニングバーでも、さまざまなワインが置いていますね。手ごろな価格で美味しいワインを飲めるような環境が増えています。これまでワインと言えば、ヨーロッパ産が主流でしたが、最近はアメリカ、南米、オーストラリア、アフリカなどの「新世界」ワインが安くて美味しいと人気です。

 ヨーロッパにこだわらなければ、新世界ワインもおすすめですね。また料理のマリアージュを考えて、魚介類なら白、お肉系なら赤と言われていますが、特にこだわらなくても良いでしょう。冷えた赤のボジョレーヌーボーで乾杯することもありますから。

――自宅で飲むワインを選ぶときのコツを教えてください。

久保田:ワインショップで当たりはずれのない白ワインを選ぶなら辛口のジャブリ。アルコールがあまり得意ではない女性には、ドイツのピースポーターがおすすめです。こちらは糖度が高くアルコール度数が低いので、口当たりが大変良いですね。

 また贈り物ならハートのラベルのカロン・セギュールなどのボルドーワインはいかかでしょう。

――最後に接客業に転職したい読者に一言お願いします。

久保田:お客様と一緒に、自分自身も楽しむことです。お客様に安心感を与えるという接客業で最も大切なことにも繋がりますからね。

久保田晃

<取材・文/夏目かをる 撮影/難波雄司(本誌)>

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。『週刊朝日』『日刊ゲンダイ』「DANRO」「現代ビジネス」などで執筆。
Twitter:@7moonr

12

おすすめ記事