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英語で「よくあること」と表現するには?“小銭”を使ったネイティブ表現

コラム

「それはよくあることだよ」と言いたいとき、It happens often.などとそのまま表現してしまいがちですが、ネイティブスピーカーはもっと気の利いた表現をすることもあります。

英語 英会話

※イメージです(以下同じ)

 それが、It I had a penny for every timeというもの。Pennyはアメリカの1セント硬貨。日本でならば、1円玉と同じです。直訳したら、「毎回1円玉を手にしたら」です。If I had a penny for every time X happened, I would be rich.といえば、「Xが起こるたびに1円もらえたら、お金持ちになれるよ」という意味

【第88回】よくあること

 Pennyや1円玉は、それ自体は大きな価値が無いものの、あまりに頻繁に起こるがゆえに、それでもお金持ちになってしまう、という意味です。If I had a penny for every time I hear complaints about the project’s cancelation, I would be rich.「プロジェクトが中止になったことについて文句を言われるたびに1セントもらえたら、お金持ちになれるよ」であれば、「プロジェクトの中止について、文句を言われてばかりいるよ」の意味になります。

 Pennyは1セントですが、時にはNickel(5セント硬貨)やDime(10セント硬貨)が使われることもあります。場合によってはIf I had a dollar…と1ドルになることもありますが、やはり100ドルなどが使われることはありません。

 このような表現は単語がすべて理解できても、訳がきちんと理解できても、なかなかその意味を理解するのが難しいですね。やや皮肉っぽい表現でもありますから、どんな心理状況で使わる表現なのかを理解したり、表現の意味を丸暗記していないと、耳にしても会話が成り立たなくなってしまうこともあります。

ビジネス

 このような慣用表現ではなくても、It happens more often than you imagine (think).「あなたが想像しているより、もっと頻繁に起こるんですよ」もよく耳にします。

 If I had a nickel…はやや皮肉っぽいので、例えば上司や顧客に対して口にするのは望ましくないでしょう。しかし、It happens more than ….であれば、皮肉な響きもないですし、ビジネスの席などでも問題なく口にできます。

逆に「めったに起こらない」を青い月に例えて…

 逆にめったに起こらないことを表現するには、Once in a blue moonというものがあります。夜空に浮かぶ月は黄色、もしくは灰色に見えますが、たまに青っぽく見えることもあります。それくらいの頻度、という意味。

 しかし、語源にはもう1つの説もあります。それは、1か月の間に、2度目の満月がある場合、その満月をBlue moonと呼ぶことからというもの。30か月以上に1度しか起こらないということですので、3年弱に1度のペースです。それくらい、めったに起こらないこと、という意味。決して「3年に1度」という意味ではありません。

<TEXT/同時通訳者 木内裕也>

会議通訳者、ミシガン州立大学研究者。アメリカ大衆文化、アメリカ史の研究を行うほか、国際一流企業、各種国際会議などの通訳を行う。またプロサッカーの審判員としても活躍。著書には『同時通訳者が教える 英語雑談全技術』『耳と口が英語モードになる同時通訳者のシャドーイング』(ともにKADOKAWA)など多数。英語で仕事をする人の応援サイト「ハイキャリア」にも執筆

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