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累計1000万部のヒットメーカー編集者が思う「仕事の本質」

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 出版不況のなか「編集者不要論」まで飛び出す昨今。ヒットメーカーはいま、どのように本をつくっているのでしょうか。企画した本の累計は1000万部を突破し、10万部超のベストセラーは50冊以上に及ぶ、株式会社アスコム取締役編集局長で、編集者の柿内尚文さん

柿内尚文

株式会社アスコム取締役編集局長で、編集者の柿内尚文さん

 初となる著書『パン屋ではおにぎりを売れ』(かんき出版)では、長年の編集経験で得たヒット作をつくるノウハウを、誰もが一生役立つ「考える技術」に変換させ、学びの大きい一冊になっています。売れる本とはなんなのか。柿内さんは、その答えとなる人の心を追究していました。

全然ダメだった広告代理店時代

――柿内さんは、お父さんもご兄弟も編集者のようですね。家族で仕事の話はされますか?

柿内尚文(以下、柿内):いまはあんまりないですけど、昔は親父から否定されてましたね。「お前もまだまだだな」って、そう言いたいだけだと思うんですけど。ケッと思っていました(笑)。

 親父は児童書の編集者で、僕と全然タイプが違うんですよ。「編集者とは作家と対峙してとことん語り合い、朝まで議論しあい、モノをつくっていくものだぞ!」みたいな。学生のときは、しょっちゅう朝酔っ払って帰ってきて昼くらいに家を出ていく姿をずっと見ていて、「この人本当に働いているのかな」って思ってましたよ(笑)。

――編集者を志したのは、お父さんの影響があったんですか?

柿内:ぼくは新卒で広告代理店に行ったので、編集者になろうとは思ってなかったんです。だけど、広告会社が自分のイメージとだいぶ違っていて、営業に配属になったんですが、自分は営業が向かず、営業成績も全然ダメでした。

 入社して2年で辞めたんですけど、同期で最初に辞めたダメ社員でしたね。完全に挫折感を感じていたんですが、そのとき、自由な感じで仕事をしていた親父をうらやましく思うようになって(笑)。当時の出版業界の自由さに惹かれて、それで転職しました。

売れる本は「正体探し」がうまくいく

書籍

※イメージです

――実際に編集者になられて、イメージ通りでしたか?

柿内:自由な感じは思い通りでした。でも、はじめはうまくいかず、人の顔色ばっかり窺って仕事してましたね。1年くらいして仕事がうまくいきだしてからは、会社に遊びに行っているような感じに変わっていきました。次の日の出勤にワクワクしていたというか、楽しくてしょうがなかったですね。

――ヒットメーカーとして過去の本を振り返ったときに、ヒットした本とそうでなかった本は、何が違ったのでしょうか。

柿内:失敗は本当にたくさんしていて、その理由はいろいろあります。そのひとつが、本づくりの中で、最初に仮説を立ててスタートするんですが、その仮説を疑うことなく最後まで突っ走ったときに失敗するケースがありますね。意外と脳だけで考えることって人の心に届かないというか。なんかすごくキレイに仮説はできてるんですけど、そういうものほど届かないことは結構あります。

『パン屋ではおにぎりを売れ』の中では「正体探し」という言い方をしているんですけど、届けたい相手の心の中にあるものが何なのかがズレていたら、うまくいかないんですよね。想定している人たちの心の中を、できるだけ具体的にイメージするところが大切だと思います。時に製作スケジュールに逆らってでも軌道修正することが重要なんだと思いますね。

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パン屋ではおにぎりを売れ

パン屋ではおにぎりを売れ

企画した本1000万部突破!ベストセラー編集者、初の著書!仕事にも、人間関係にも、恋愛にも、お金のことも、家族のことにも使える「想像以上の答えが見つかる思考法」

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