お酒が飲めない就活生が「大手ビール会社の営業マン」になれたワケ
酒席も積極的に主催する姿勢が大切
等身大の自分で勝負し、顧客に気に入られること。訪問先での少ない時間の中で、印象に残るよう振る舞うこと。とにかく「お酒が飲めないからつまらない」と思われないよう、営業活動をしてきたわけだ。
また、飲めない営業マンだから酒席を設けないのではなく、むしろ積極的に酒席を主催するようにし、顧客と交流する機会を増やす努力もしていたという。
「当時は営業で回る時は、会話できてもせいぜい10分程度。業務用営業では『日中に5回お客様に会うよりも、1回酒席を設けることが大事』と言われていたくらい、接待の場で口説くことが必要だったんです。ここでも、飲めないことを理由にせず、お店のチョイスや場のセッティングなど率先して行い、お客様同士が楽しくコミュニケーションできるような雰囲気づくりを心がけました」
ちょっとした豆知識も交えながら会話
つまらない人間だと思われないよう、トークの小ネタも仕込んで、周囲のテンションに合わせ、「盛り上げ役にも回る姿勢も大切だ」と語る我妻さん。
「自分はもともと野球をやっていて、高校時代にはキャッチャーで甲子園にも出場しました。野球話はもちろん話のネタになりますが、『サッポロ黒ラベル』の金星は験担ぎ(げんかつぎ)するためにスポーツ選手の飲み会でよく使われるなど、ちょっとした豆知識も交えながら会話することで、面白いやつだと可愛がってもらえるよう意識しました」
顧客との会話の仕方や接し方について、さながら野球のキャッチャーのように状況判断しながら、相手の立場に立って考える。また結果をすぐ求めずに顧客第一に考えることが、我妻さんの営業哲学なのだろう。
「お客様の悩みやサッポロビールに何を求めているのかなど、酒席だからこそ突っ込んで話すことで、関係性を築けます。特に、自分はお酒が飲める人よりも記憶が残るので(笑)。酒席で信頼を得て、後日、クロージングという営業手法は自分には合っていましたね。お客様など規模感に応じて営業の仕方は変えていますが、根底にあるのは一人よがりにならないこと。課題を引き出せるよう、しっかりと話をすることが何より大切だと思います」