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日本人が気づかない「身近な差別」の存在。区別とはどう違う?<小原ブラスの“甘口”人生相談>

コラム

 普段は辛口だとか、毒舌だとか言われる僕ですが、毒を持った言葉を使うと、どうしても「これが正解だ!」と、1つの答えを決めつけてしまいそうになるものです。でも、人生の答えは1つであるはずがない。

小原ブラス

 だから、あえて“甘口で”読者の皆様の人生相談にのってみようというこの企画、数ある沢山の正解の中のほんの1つだけ、参考になればという思いで、おこがましくも答えさせていただければと思います。

 今回は、アメリカをはじめ世界中で問題となっている差別についてのこんなご相談です。

【相談】身近な差別って何かありますか?

■ Aさん(20代、男性、社会人)

 アメリカのミネソタ州で起きた、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に拘束されて殺害された事件。詳しい事件のあらましや、今アメリカ中にデモが広がって(その一部が暴徒化してること)いるのはニュースで知ってます。でも、日本にいると差別ってあまり身近に感じることありませんよね? そもそも差別って何?

【回答】差別をしない人間であるのは難しい

 さまざまな多様性に注目が集まる現代、ひと昔前と比べ社会の中で「差別」という言葉に触れる機会が増えてきましたよね。人種差別、男女差別、職業差別などをはじめ、容姿差別、血液型差別などネットの記事などを読むと、こんな“差別”があるのかと驚くこともあります。

 書籍や記事など、活字になった情報で「差別」を学ぶと理解できたつもりにはなるものの、いざ生活の中で触れるとなると、差別はあまりにもさりげなくやってきて、気づかないうちに通り過ぎていってしまうもの。相談者のように差別を身近に感じないという方も多いかもしれません。

 誰かが「あれは差別だよ」と教えてくれないと気づけないことも多いので、差別をしない人間であるということは難しいものです

「差別」と「区別」の違い

カリフォルニア

2020年カリフォルニアで行われた「Black Lives Matter 」デモ集会 Oceanside, CA / USA – June 7, 2020: Young woman holds a sign saying `My Skin Color is not a Crime` during Black Lives Matter prote. Photo 185974833 © Simone Hogan

 差別問題に取り組むにあたって、当事者や気づいた人から言われる「あれは差別だよ」という言葉はとても大切だということが分かると思いますが、最近はその言葉に対して「それは差別じゃなくて区別だ」と反論する人も増えてきました。

 その反論に「たしかに」とうなずけることも多々ありますが、中には差別を肯定するための言い返しの決め文句として言ってしまっている人も少なくないのではないでしょうか。

 どんなものが「差別」なのかということを理解するためには、この「差別」と「区別」の違いをしっかりと理解する必要があるのかもしれません。

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