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新型コロナ、安倍政権の「遅すぎる対応」を海外と比べてみた<ダースレイダー>

コラム

シンガポールの徹底したウイルス対策

ダースレイダー:シンガポールはどんな施策をしていたかというと、今よりも病気の正体がわからないとき、「どこから感染して、誰にうつったかわからない」という不安を打ち消すために、誰がどこからどこに行ったせいで何人に感染したのかという、行動ルートや相関図を公開しています。

 関連する行動を取ったか否かで、心配事が少なくなったり、逆に心配になった人はそれを理由に検査をスムーズに受けることができたりします。病院にみんなが殺到するということも防げます。

 これは、初期の武漢で起こったことなのですが、中国がすごいスピードで病院を作っていましたが「自分も感染したかもしれない」と、みんなが病院に殺到した結果、医療現場が圧迫され、対応しきれなくなりました。

 人が殺到するせいで、本当に医療が必要な人たちが受けられなくなり、2次、3次の被害が広がっていきます。日本でも、今後データが出れば出るほど「自分も感染したのでは」と言って病院に駆け込む人が増えるかもしれません。

 トイレットペーパーやマスクのように、心配になったらみんなダッシュするというのは日本人の国民性に結び付けられがちですが、これ実は人間の基本的な生存本能と結びついている行動です。それをどれだけ予測して先手で対策を打てるかが、政治の力量と言えるでしょう。

他国から非難されるクルーズ船への対応

クルーズ船

ダースレイダー:クルーズ船に関してもいろいろ問題があると言われています。岩田健太郎さんという医師が内部に入って状況を告発したことで、みんな驚いたと思うのですが、クルーズ船の中でのウイルス対策は失敗しています。毎日新しい感染者が出ている状況で、対策ができていないとの情報はさらに不安を与えました。

 さらに言えば、このウイルスは換気の悪い状況に大人数の人がいることで感染する確率が高くなる。つまり、クルーズ船をずっと外に置いて、そこに感染者と非感染者を置いておくことは1番やっちゃいけないことだと証明されてしまいました。

 未知のミッションだった、とも言われますが……。そもそも日本のインフラが感染症対策に対して脆弱だったことが露呈しました。感染症対策の規模でいえば、アメリカは日本の200倍の予算、40倍の人員です。さらに全国の保健所の数はここ25年で45%まで減ってしまっています。

 しかも、これを活かした施策を日本は取っていない。これが「日本は何やっているんだ」と世界からバッシングをされている理由です。

 今、世界中で対新型コロナのレースを走っているなかで、下手をすると日本だけが取り残されるかもしれません。しかも、これを乗り越えて、今から猛ダッシュで台湾を抜くということができるレースでもないのです。

 次回、<若者よ、これが日本だ。新型コロナ「安倍政権の対応」は人災レベル>に続く。

<構成/鴨居理子 撮影/山口康仁>

1977年パリで⽣まれ、幼少期をロンドンで過ごす。東京⼤学に⼊学するも、ラップ活動に傾倒し中退。2010年6⽉に脳梗塞で倒れ合併症で左⽬を失明するも、現在は司会や執筆と様々な活動を続けている。

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