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「年収1000万円」を超えると納税額が上がる?気になる噂をお金のプロに聞く

コラム

 国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によると、平成29年の給与所得者のうち年収1000万円を超えている人の割合はわずか4.5%。ごく限られた人だけがそのステータスを得られていることがわかります。

札束

※画像はイメージです(以下同じ)

 全世帯の平均年収が441万円というこのご時世ですから、年収1000万円なんて遠い夢の話のようにも聞こえてきます。

 その一方で「年収1000万円を超えるとたくさん税金を取られる」といううわさも聞いたことがあります。実際のところ年収1000万円ある人はどれくらいの税金を支払っているのでしょうか。Switchコンサルティンググループ代表、税理士の水村耕史さん(@koujimizumura)にお話をうかがいました。

「一気に税金を取られる」は誤解

 そもそも年収1000万円を超えると一気に税金を取られるといううわさは本当なのでしょうか。水村さんは「よく聞かれる質問です」と言います。

「しかし、一気にというほど変わるわけではありません。これは“累進課税制度”といって、日本の所得税が、収入が高い人ほど高い税率をかけているのです。

 仮に税率の33%の収入に達していても、その金額を超えた部分にのみ33%の税金が課されるのであって、それよりも低い部分には低い税率がかかっています。ですから、年収1000万円になったとたんに急に税金が高くなるわけではないのです」

 どうやら年収1000万円になったから税金が高くなるのではなく、一定の金額を超えた部分にのみ高い税率かけられるということ。

年収900万円と1000万円で手取りの差は?

累進課税

※国税庁のホームページをもとに作成

 では、年収900万円と1000万円では、手取り収入はどれほど変わるのでしょうか?

「手取りの金額は、支払いの額面から社会保険料、所得税・住民税を引いて算出します。例えば、独身男性で収入が給与所得のみだった場合、社会保険料の保険料率は約15%と仮定すると、年収1000万円なら、

 1000万円×0.15=150万円

 を支払っている計算になります。同様に年収900万円で計算すると135万円となり、社会保険料だけでも約15万円の差があることがわかります。

 所得税は、基礎控除、給与所得控除、社会保険料を控除金額の合計を、引いて算出します。年収1000万円の年間税額は81万3200円、年収900万円の年間税額は66万2100円(概算)で、こちらも約15万円の負担増となるので、年収1000万円になると税金の額が合計で約30万円増えることになります」

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