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“事故物件住みます芸人”が語る、「怪談と都市伝説」の違い

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 2012年から事故物件に住みはじめ、心霊スポット巡りの配信や怪談イベントの主催など、独自の路線をひた走る芸人・松原タニシさん(37)

松原タニシ

松原タニシさん

 ベストセラーとなった著書『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)は亀梨和也さん主演で映画化が決定し、2020年8月に全国公開を控えている。ある意味で今、もっとも注目されている芸人だ。

 前編では、「事故物件に住み続けた理由」「幽霊や人との向き合い方」「下積み時代の気づき」などについて話を聞いた。後編では、「映画化にあたっての話」「ファンとの関係性」「この4年間で失ったもの」など、さらにパーソナルな部分を掘り下げていく――。

「事故物件に住む」体験談は僕しか語れない

――ご自身の書籍『事故物件怪談 恐い間取り』が映画化されると聞いて、率直にどう思われましたか?

松原タニシ(以下、松原):ある日、マネージャーに「ちょっと大事な話があります」って、狭いところに連れて行かれて教えられたんですが、意味が分からない(苦笑)。急な話だったし、なんでだろうと。ホラー映画と僕のやってるような実話怪談は、ぜんぜん別のジャンルだと思っていたので。

――まったく予想だにしていなかったと。今回メガホンをとるのは、ホラー映画『リング』で一世を風靡した中田秀夫監督です。ご自身では、なぜこの本に興味を持たれたと思いますか?

松原:本が思っていたより売れてくれたので、世間の人が「事故物件に住む」ってことに意外と興味があるんだなっていうのはあって。ただ、「なんでそこまで?」って考えたときに、今ってネットで検索すると、ある程度、物事の裏側が分かっちゃう時代だから、作り手の怖がらせようという意図とかがバレちゃってるんじゃないかと。

 そのなかで「事故物件に住む」という体験談は、今のところは僕からしか聞くことができない。そこに「まだ面白そうなものがある」っていうふうに感じてくれたのかなって想像してますね。

亀梨さんの人気にあやかってはいけない

松原タニシ

女性ファンが増えそうですが

――主演を務めるのは、KAT-TUNの亀梨和也さんです。怪談やホラーの世界に女性ファンが増えそうな気もします。

松原:ただ、亀梨さんの人気にあやかってはいけないなと思っていて。知ってもらえることはすごいありがたいんですけど、僕という芸人の役を亀梨さんがチャレンジしてくれるっていうのとは別のことというか。だからこそ、「どう演じてくれるんだろう?」っていうところに興味があります。

 しかも亀梨さんが役づくりのために、僕の仕草や考え方を研究してくれてるんですよ。僕にとってもスーパースターの彼が、僕のやってきたことをどう表現してくれるのかが楽しみで仕方がないですね。

――松原さんは怪談イベントを精力的に行っていますが、その一方で都市伝説イベントも盛り上がりを見せています。似て非なるものだと思うんですが、客層に違いがあったりもするんですか?

松原:都市伝説って知識だと思うんですよ。「あ、そんな共通点が導き出されるんだ」とかってことを、雑学として知って人に言いたくなるジャンル。だから、お客さんも俯瞰で見られるし、信じても信じなくてもいい。

 怪談は信じる前提で聞かないと成立しないから、怖いか怖くないかのゼロか100かみたいな部分があったりします。まぁ細かくはそれだけでもないんですけど。「怖さ」は人それぞれだったりするので、何を信じるか信じないかによって意見の食い違いが出やすいのも怪談かなぁと思います。ただ、僕のやってるイベントで言うと、俯瞰で見てくれるお客さんが増えたような気がします。

事故物件怪談 恐い間取り

事故物件怪談 恐い間取り

事故物件とは、前の住人が自殺・殺人・孤独死・事故などで死んでいる部屋や家のこと。そんな「事故物件」を転々としている、「事故物件住みます芸人」の松原タニシ、初の書き下ろし単行本

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