震度6弱の地震で電車はどうなる?西武鉄道の復旧訓練で見たリアル
先頭車の前方台車に搬送トロを装着
先述通り、事故はクルマの一部分が先頭車の台車にはさまっているという想定なので、そこに搬送トロを装着させる。
まず、ジャッキのセットと並行して、先頭車の前面に水平器を取りつける。常に90度を保たなければならず、少しでもズレると横転の恐れがある。
油圧操作ポンプを使いジャッキで上げるため、ディーゼル発電機のエンジンがかかると、作業員は周囲を防音カバーで覆い騒音の低減を図る。
ジャッキの力で車体が持ち上がると、線路上にセットされた搬送トロを台車の前輪に載せ、あとは下げる。西武鉄道によると、搬送トロを装着すると、自走できないという。このため、別の車両に牽引される。
陥没した線路を復旧
② 線路復旧訓練
別の線路では、作業員2人がレールスター(軌道自動自転車)に乗って被害状況を確認したところ、拝島線玉川上水―武蔵砂川間で線路が一部陥没していた。
復旧作業はまず枕木をボルトで締めたあと、バケツリレーの要領でザルにのったバラスト(砕石)を巻く。西武によると、1級線(池袋線池袋―飯能間、新宿線全線、拝島線全線、西武有楽町線全線、豊島線全線)は、路盤(地面)から枕木の下面まで250ミリ以上の厚さを確保。2級線(上記以外の区間)は、200ミリ以上の厚さを確保しているという。
ゲージチェックをしたあと、エンジン式タイタンパーで線路のつき固めを行なう。それが終わったあと、再度ゲージチェックを行ない、トラックマスター(線路を検測する機器)で最終確認を行なう。