冬ボーナス、都内企業は平均77万円。業界別ランキングと差がつく理由
ボーナスが高い業界の特徴
――トップの教育・学習支援業界は基本給も高い(約153万円)ですね。基本給の高低がその業界のボーナス額を決定するのでしょうか。
鳥山:基本給以外にも、ボーナスの大小を決定する要因に、ビジネスのボラティリティ(儲けの幅)の大小が挙げられます。個人の努力や経済状況の影響を受けやすい業種はボーナスが大きい傾向があり、逆に安定している業種はボーナスが小さい傾向があります。
例えば、総合商社や証券会社、不動産業はボーナスが大きい業界に該当します。総合商社は、天然資源の採掘権や事業自体への投資を行っており、投資会社としての色合いが強いのが特徴です。投資は上手く行けば大きな利益をもたらしますが、損失を被るリスクも当然あります。証券会社も、やり手の営業マンは数百億円と株式を販売しますが、成績が悪い営業マンの場合、全く売上を作れません。
以上のように、“当り外れ”の要素が大きい業種は、儲かってる時や、稼げる特定個人に対して、ボーナスを大きく払っても十分に会社は利益を残せますが、不景気時や成績不振の個人にまでボーナスを付与してしまうと、赤字になり得ます。
このような業種は、従業員への還元を基本給という固定費よりもボーナスという変動費にしたほうが、利益が安定し、経営上都合が良いのです。
ボーナスが低い業界の特徴
鳥山:逆に、景気変動やスーパー営業マンといった特定の個人の有無によって業績があまり変わらない業種は、ボーナスが低くなる傾向があります。例えば、通信、電気ガス水などのインフラ、さらには医療・福祉業界などです。
これらの業種は景気変動を受けづらい上に、大規模設備自体に価値がありますので、特定の個人に依存して成り立っている業種ではありません。このような業種は、収益が安定していますので、業績予測が立てやすく、ボーナスという変動費よりも、基本給という固定費で従業員還元した方が、業績が安定します。