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学生に“クビ宣告”…ほぼタダ働きもある「長期インターン」の実態

学び

 近年、ベンチャー企業などでの「長期インターン」をよく耳にするようになりました。就職への不安から、志望先の業界、あるいは志望先でなくても、とにかく仕事を体験したくてインターンをする学生はたくさんいます。

ビジネス

※画像はイメージです

 インターンシップとは学生が企業で「就業体験」することで、講演を聞くだけのものから、現場で実際に働くものまでさまざま。2018年卒学生のうちインターンシップ参加者は55.2%に上ります(リクルートキャリア『就職白書2018』)。

 しかし、なかには不利な条件や不当に低い賃金を強制され、後悔してしまうことも……今回はとあるベンチャー企業の「長期インターン」で、やりがい搾取されてしまった経験がある、大学3年生、春日彩佳(仮名・20歳)さんに話を聞きました。

インターンを始めたのは「なんとなく」

――インターンをすることになった経緯を教えてください。

春日彩佳(以下、春日):アルバイトに飽きたからですね。当時は大学1年生で、インターンをどう探したら良いのかわからなかったので、起業して「学生をインターン募集している会社につなげる仕事」をしている先輩に相談したんです。

 そこで渋谷にある大手IT企業の方を紹介されたのですが、結局採用はされず、代わりにその会社のイベントに行かせてもらえることに。インターンは、そこでスタッフをしている学生から「うちの会社(以下、A社)を手伝ってみませんか?」と声をかけられたのがきっかけです。

――その時はどんな気持ちでしたか。

春日:ベンチャー界隈を一度見てみたかったので、なんとなく「手伝ってみようかな」という感じでした。

 A社のインターンは面接もなく「人が足りていない」で、即日採用。契約に関しては、週2回以上働くという口約束で書面はなかったのですが「後から書類をもらえるだろう」と、とりあえず働き始めました。

コピペして貼り付けるだけ

春日

話を聞いた春日さん

――実際行ってみたらどうでしたか?

春日:私を含めて従業員は5人。社員は社長1人で、あとは学生インターンしかいませんでした。

 A社はイーコマースの会社だったのですが、中国などのECサイトを日本で使えるようにしたり、日本のアパレルブランドの商品を東南アジアで売ったりするため、必要な情報を集めていました。仕事自体は、ひたすらサイトの文字をエクセルにコピペするだけで、正直、「これって、もっと楽にできるんじゃない?」と感じるほどの単純作業でした。

 始業時間も決まっていなかったので、とりあえず授業が終わる16時から20時まで週2日で働いていました。たまに早めの12時くらいから出社することもありましたが、本当に一日中、同じ作業をしていて、新しいことは何もなかったですね。

――給料や契約書はどうなっていましたか?

春日:出社して2週間、その話が出てこなくて、社長に「報酬って話あったじゃないですか?」と聞きました。そしたら「お金なんだけど、1万5000円でいい?」と言われました。

 本当にびっくりしてしまって、1日4~8時間、週2日以上も働いているのにどういう計算なんだと思いました。いまだに契約書も交わしていないし。その日は「ひとまず考えさせてほしい」と伝えて帰りました。

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