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「それはフェアじゃない」の使い方に見る、日米文化の違い

コラム

 日常会話の中で、「フェアである」とか「フェアではない」と口にすることがどれくらいあるでしょうか?

楽しむ英会話

「それはフェアじゃないよ」と言うシーンはどれくらいあるでしょうか? スポーツにおいては、勝ち負けよりもフェアプレーが大切である、とよく言われますね。仕事でも、裏から手を回すのではなく、正々堂々と仕事をこなすことがフェアとされます。

第51回 文化差から見るFair

 しかし、「フェア」とか「公平」という概念は比較的に日本において弱いのではないか、と思うことがあります。例えばアメリカでは小さい子供がFairという言葉を日常会話で良く使います。日本で育った小学生が「それは公平さに欠ける」という発言をするとはあまり考えられませんが、アメリカ人の小学生がIt is unfair.と言うことはよくあります。

 このように意外と頻繁にネイティブスピーカーが口にするFairという単語は、「公平」と訳を覚えていると、なかなか使いこなせません。実際の例を1つご紹介しましょう。先日、従兄弟の結婚式があって、妻(アメリカ人)と一緒に来日して結婚式に参加しました。引き出物の1つに、カタログから自分たちで好きなものを選んで注文できるギフトブックがありました。

 ちょうど年末にまた私が帰国するので、親族として一緒に結婚式に注文した人たちと、「じゃあ、みんなでお肉を注文して、12月に一緒に食べよう」という話になりました。ただ、私の妻だけはその時に帰国予定はなく、アメリカで留守番です。そこで妻が口にしたのが、That is not fair!でした。

 もちろん、真剣に不平を口にしているわけではありません。日本語にすれば、「いいなあ」「うらやましいなあ」という意味。ただ、ここでI’m jealous.とかI envy you.などの表現を使わないところに、育った文化の違いが感じられます。

権利より和が強調される文化

フェア

※画像はイメージです

 つまり、アメリカは権利の国。個人の権利を非常に大切にします。子供のころから強く教えられる概念です。

 日本では個人の権利より、和が強調されるのではないでしょうか? 「自分のしたいことをきちんと口にしなさい」よりも、「我慢しなさい」と教えられることが多いように思われます。

 そうすると、「自分も結婚式に参加した=結婚式でギフトカタログをもらった=自分だけお肉が食べられない」という公式がUnfairとなるのでしょう。日本語だと「いいなあ」「うらやましいなぁ」と言うのではないでしょうか。

 日本語の感覚だと、このUnfairとかnot fairという言葉がもっと強い不平のニュアンスを持つように感じがちです。もちろん、場合によってはそのような強いニュアンスを持つこともありますが、今回のようにもっと日常的な意味で使われることも多くあります。

<TEXT/木内裕也>

会議通訳者、ミシガン州立大学研究者。アメリカ大衆文化、アメリカ史の研究を行うほか、国際一流企業、各種国際会議などの通訳を行う。またプロサッカーの審判員としても活躍。著書には『同時通訳者が教える 英語雑談全技術』『耳と口が英語モードになる同時通訳者のシャドーイング』(ともにKADOKAWA)など多数。英語で仕事をする人の応援サイト「ハイキャリア」にも執筆

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